トラス英政権崩壊寸前!? 今そこにある英国発世界金融危機 エコノミスト指摘...「政治の混乱が経済後退にさらに拍車」

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住宅バブル崩壊が金融システムの重荷に

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英国の行政機関が並ぶロンドン・ダウニング街

   トラス政権による大規模なインフレ対策が嫌気され、英国の金融市場では長期金利が急騰し、住宅ローン金利も上昇している。

   「こうした状況を受け、英国の住宅バブルが崩壊する危険性がある」と警告するのは、三菱UFGリサーチ&コンサルティングの副主任研究員土田陽介氏だ。

   土田氏はリポート「英国で高まる住宅バブル崩壊の懸念~急激な金利上昇で住宅価格の下落は免れない見通し」(10月18日付)のなかで、コロナ禍で急上昇した住宅価格と賃金(雇用者報酬)を比較したグラフ(図表2参照)を紹介している。

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(図表2)コロナ禍で急上昇した住宅価格と賃金の関係(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの作成)

   これを見ると、住宅価格が家計の所得の伸びを10%以上も上回るピッチで上がっていることがわかる。これは住宅市場が「バブル」であることを示している。土田氏はこう指摘する。

「家計が住宅ローンの返済負担に窮することで、住宅金融機関は多額の不良債権を抱えると考えられる。そして住宅金融機関の不良債権問題は、英国の金融システム全体の重荷となると懸念される」
「長期金利の急騰を受け、住宅金融機関が住宅ローンの取り扱いを停止したり、金利を引き上げたりしている。そのため住宅需要も減退し、割高に評価されていた住宅価格も下落を免れない状況になった。また、金利の上昇で、すでに住宅ローンを借り入れていた家計の多くが、借り換えのタイミングで返済負担が急増することになる」

   その結果、どうなるのか。

「住宅価格そのものが下落することに加えて、BOE(英イングランド銀行)による金融引き締めで資金調達コストが増加したことなども、不良債権処理の逆風となる。そして住宅金融機関の不良債権問題は、英国の金融システム全体の重荷となると懸念される」
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