コーヒーチェーン店「コメダ珈琲店」を展開するコメダホールディングス(HD)の株価が、2022年10月13日の東京株式市場で一時、前日終値比168円(7.2%)高の2494円まで上昇し、約4年ぶりに上場来高値を更新した。
前日に22年8月中間連結決算(国際会計基準)を発表しており、このうち第2四半期(6~8月期)がしっかりとした増収増益だったことを好感する買いが入った。4月の値上げが浸透しつつ業績が改善しており、今後の動向によってはさらに上値を追う可能性もありそうだ。
証券会社リポート「10月以降も同様に好調を見込む」
それでは決算内容を見ていこう。中間決算は、売上高にあたる売上収益が前年同期比10.5%増の181億円、営業利益が1.1%減の37億円、最終利益が1.1%増の25億円だった。このうち、6~8月期をみると、売上収益は前年同期比12.1%増の92億円、営業利益は5.6%増の19億円、最終利益は6.6%増の13億円で着地した。
コーヒー豆や小麦粉、エネルギーコストの価格高騰を受け、コメダ珈琲店の大半の店舗で4月下旬に値上げに踏みきった。
値上げ幅は、ほとんどがフランチャイズである各店に対応を任せていた。6~8月期はこの影響が全面的に表れる四半期だった。そのなかでも、コロナ感染が急拡大し、前年キャンペーンの反動もあった7月以外は、売り上げ(既存フランチャイズ店への卸売売り上げ)が前年を上回り続けている。顧客離れは起こらず、値上げが浸透したと言えそうだ。
9月についても、既存フランチャイズ店への卸売売り上げは、前年同月比10.2%増を記録。第2四半期決算発表を受けて、目標株価を2660円から2900円に引き上げた大和証券はリポートで「10月以降も同様に好調を見込む」と記した。大和は「販管費も抑制されている」と好調の要因も指摘した。
海外市場にも注力...2026年2月期までに80店目標
ここでコメダHDの概要を確認しておこう。
1968年に「コメダ珈琲店」の1号店を名古屋市内にオープンし、現在も名古屋市東区に本社を置く。デニッシュパンにソフトクリームなどを乗せた「シロノワール」といったユニークな商品やゆったりくつろげる客席、お得感などを売りモノに、喫茶店文化が盛んな東海地方の有力店として名古屋を中心に店舗数を拡大してきた。
2003年に関東、2006年に関西に進出し、2016年に東証1部に上場した。2022年8月末の店舗数は海外(34店)、和風甘味喫茶「おかげ庵」(12店)などを合わせて965店に及ぶ。
近年は海外市場にも注力しており、2026年2月期までに海外店舗80店を目標とする。これまでに台湾と中国・上海に展開しているが、香港とインドネシアへの出店を準備中だ。
国内市場の飽和を見据えた海外事業の進捗状況にも、投資家が注目している。(ジャーナリスト 済田経夫)