自分より年収3分の1以下の夫、家事育児ゼロ、家計負担ナシ...それならポイ捨て? 女性の投稿が炎上...経済力持つ妻に、夫は不要? 専門家に聞いた(3)

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   年収が自分より3分の1以下。家事育児を全くやらないし、家にお金も入れない夫。「こんな旦那ならいらないですよね?」。そう悩みを訴える女性の投稿が炎上気味だ。

   この女性は、子育てのため仕事をセーブしているが、フルタイムなら年収3000万円以上だという。また、結婚当初から家にお金を入れる割合は妻7:夫3だったが、夫は起業して「まだ大変」ということで「ゼロ」に。飲んで帰ることが多い。2人の子どもに「パパいる?」と聞くと、「いなくてもいいい」という返事。

   この投稿には「女性が完全に自立すると、夫はいらなくなる」「ポイ捨てしなさい」という共感と、「夫をモノ扱い」「子どもがかわいそう」という批判の声も。

   妻が圧倒的な経済力を持った典型的な「格差婚」の夫婦、どうすれば幸せになれるのか。専門家に聞いた。

  • 夫と別れるべきか悩む女性(写真はイメージ)
    夫と別れるべきか悩む女性(写真はイメージ)
  • 夫と別れるべきか悩む女性(写真はイメージ)

「お母さんは、お父さんをペットや大きな長男のように思っている」

   <自分より年収3分の1以下の夫、家事育児ゼロ、家計負担ナシ...それならポイ捨て? 女性の投稿が炎上...経済力持つ妻に、夫は不要? 専門家に聞いた(1)>および<自分より年収3分の1以下の夫、家事育児ゼロ、家計負担ナシ...それならポイ捨て? 女性の投稿が炎上...経済力持つ妻に、夫は不要? 専門家に聞いた(2)>の続きです。

――また、「自分が病気になった時のためや災害時などのためにキープしておいたら」とか「ペットや大きな長男だと思えばいい」などと別れるべきではないというアドバイスありました。

川上敬太郎さん「そういった冷めた考え方も、選択肢の1つではあると思います。ただ、それこそ子どもたちの目にはどう映るのでしょうか? 言葉に出さなくても、『お母さんは、お父さんをペットや大きな長男のように思っている』という状態をお子さんたちは心で感じとる可能性があります。
だからといって、離婚したとしてもお子さんたちは悲しむかもしれません。どちらもよい選択とは言えないだけに、離婚せずキープすればよい、と単純に言い切れるようなものではないと思います」
家事育児ゼロ、飲み会、深夜帰宅...喧嘩の原因に(写真はイメージ)
家事育児ゼロ、飲み会、深夜帰宅...喧嘩の原因に(写真はイメージ)

――また、「妻が経済力を持って自立すれば夫はいらなくなる」「いずれそういう社会がくる」という意見もありました。

川上敬太郎さん「夫婦が結婚する理由は経済力だけではないはずです。それも大切な要素であることは否めませんが、妻が経済力を持って自立すれば夫がいらなくなるとまで言うのは極論だと思います。
経済力の有無だけが夫婦のつながりだというのであれば、もし夫が事故に遭い、寝たきりのような状況で思うように収入が得られなくなってしまったら、妻はサッサと夫を見捨てて別れてしまうということになるのでしょうか? 夫婦とは、そんな軽薄な関係ではないと思います」

――ジェンダー的な視点から、もし「収入ナシ・家事育児ゼロ・パパ友と飲み会・深夜帰宅」という振る舞いを、専業主婦がやったら叩かれるだろうと。それを引き合いに、夫を擁護するのはおかしい、という指摘です。

川上敬太郎さん「投稿者を取り巻く状況について読む限り、夫は専業主夫ではなく、起業して会社を経営しています。そのため、専業主婦を引き合いに出しても状況は異なります。ただ、同じように、妻が起業した場合を想定したとしても、擁護する人もいれば、しない人もいそうです。
また、仮に夫が専業主夫であったとしても、夫には夫の言い分や、致し方ない事情があるかもしれません。投稿内容には妻である投稿者さんの視点、言い分しか記載されていないため、判断材料として夫側の考えが確認できません。
ジェンダー逆転の視点から検証することも大切だとは思いますが、投稿者さん側の情報しかない中では、あまり意味をなさないように思います」

「夫には、妻がすべて抱え込んでいる状況に早く気づいてほしい」

心身ともに疲れ果てている妻のほうが心配だ(写真はイメージ)
心身ともに疲れ果てている妻のほうが心配だ(写真はイメージ)

――川上さんなら、ズバリ投稿者にどうアドバイスしますか。別れたほうがいいですか。あるいは今後も夫婦を続けるなら、どういう点に注意すればよいですか。また、投稿者の夫にはどうアドバイスしますか。

川上敬太郎さん「最も心配なのは、収入も家事育児もすべてをこなしている投稿者さんが心身を壊してしまわないかということです。夫には、妻がすべて抱え込んでしまっている状況に早く気づいてほしいと思います。
しかし、長く連れ添う中で、夫もすでにその状況を理解しているのかもしれません。そうなると、妻に過度な負担がかかっている状況を見て見ぬフリしていることになります。投稿者さんが、今後そんな夫と一生添い遂げることを想像してみた時に、幸せな生涯がイメージできるのかどうか。あまり楽観できる状況ではないように思います。
一方、夫には夫なりのストレスがかかっている可能性もあります。本当はもっと家族と関わりたいと思っているものの、きっかけをつかめないのかもしれません。あるいは真逆で、いまの状態が心地よいと感じている可能性もあります。
ただ、ハッキリ言えることは、いまの状態は家族にとってよくないということです。とくに気になるのがお子さんたちへの影響。いまの状態をよりよい状況へと変えていくために現状と向き合い、夫はしっかり投稿者さんと話し合うべきだと思います」

「親として、妻として、夫として、何かを変えることが必要」

夫婦の絆とは何か、しっかり話し合ってほしい(写真はイメージ)
夫婦の絆とは何か、しっかり話し合ってほしい(写真はイメージ)

――たしかに、まだ小中学生の子どもたちのことが心配ですね。

川上敬太郎さん「もちろんお子さんのことは大切ですが、お子さんを優先して投稿者さんが自分を犠牲にすることが望ましいとも思いません。また、夫には夫の言い分もあるのかもしれません。
投稿者さんも夫も、お子さんたちも、いまの状態が幸せだといえるのかどうか。投稿内容からは、幸せな印象は受けません。何かを変えることが必要なのだろうと感じます。
誰のために何を変えるのか。親として、妻として、夫として、それぞれのお立場から考える必要があるのではないでしょうか。そして、お互いの気持ちを一方的な思い込みで決めつけてしまうことなく、自分が気づかなかった思いや事情があるのかもしれないという前提に立ち、ご夫婦がじっくりとお互いの話を聞き合う場を持つことが大切なように思います。
そのうえで、家族全員にとって最善で、より幸せになれる選択をしていただきたいと願います」

(福田和郎)

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