いつから映画やドラマは「鑑賞」対象ではなく、「情報収集」手段になったのか?

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時間のコスパ、「タイパ」を求める若者たち

   2つめは、コスパ(コストパフォーマンス)を求める人が増えたことだ。時間のコスパは「タイパ」と呼ばれている。「タイムパフォーマンス」の略だ。駄作を観るのは無駄な時間と考えられ、「タイパが悪い」と嫌われるという。

   その極端な行き着き先が、YouTube上に多数存在する「ファスト映画」だ。数分から十数分程度の動画で映画1本を結末まで解説するもので、違法なアップロードであるため有罪判決が出たが、根絶されていない。

   3つめの背景として、セリフですべてを説明する映像作品が増えたことを挙げている。だから、セリフやナレーションのあるシーンだけを観れば、作品を理解できると思う人がいても不思議ではない。だが、それでは映像作品を鑑賞したことにはならない、と稲田さんは疑問を呈する。

   倍速視聴する人たちへの取材を通して、稲田さんは以下の図式に至る。

芸術――鑑賞物――鑑賞モード
娯楽――消費物――情報収集モード

   ある種の映画やドラマが情報収集の対象だという認識ならば、効率的な摂取のために早送りする行動には、なんの疑問もない。いわば、本を立ち読みするのに似ている。「観たい」のではなく「知りたい」という感覚だ。

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