円安の流れの潮目は「ジャンク債の動向がカギになる」
それでは、円安の流れの潮目はいつになるのだろうか。
野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏は、リポート「止まらぬ円安はいつまで続くのか?」(10月17日付)のなかで、いわゆる「ジャンク債」といわれる、利回りが高く信用格付が低いハイイールド債スプレッド(利回り格差)の動きに注目した。
石黒氏は「円安基調の転換は外部要因にカギがある」というのだ。
「円安基調にいつ歯止めがかかるのでしょうか。可能性が高いのは、外部要因による円相場の修正シナリオの到来です。これまでも米ドル円は、米ハイイールド債スプレッドが急拡大するような、金融市場にストレスがかかる局面で転換してきた傾向があり、ストレスがかかって、中央銀行の金融政策が修正されると、市場で安全資産とみられている円を買う動きが強まる傾向がありました。=図表1参照」
たしかに、図表1を見ると、米ドル円レートと米ハイイールド債スプレッドの山と谷の動きは連動しているように見える。そして、米ハイイールド債スプレッドが山から谷に下がると、米ドル円レートも一気に下がることを繰り返している。
石黒氏はこう結んでいる。
「世界的な利上げ加速懸念に加え、英財政懸念や欧州金融機関への不安などが一段と強まり、金融市場のストレスが極端に高まるような状況になれば、各中銀の政策転換とともに円安基調の潮目が大きく変わる可能性があると考えています」