スクランブル化、なぜできない?
有識者はどう見たか。たとえば、ヤフーニュースのコメント欄では、社会学者の西田亮介東京工業大学准教授(メディア研究)は、
「NHK改革はガバナンス、業務、受信料水準を三位一体で見直す三位一体の改革が改革の方向性に位置付けられているが、広く『不十分な受信料値下げ』ばかりが印象づいているのではないか。NHKは実は前ふたつにも相当に取り組むがそのことはあまり知られていない。受信料引き下げは可処分所得の奪い合いの観点から、民間企業や新聞等の他のメディアも強い関心を寄せ、業界団体なども要望している」
と指摘。そのうえで、
「だが、そうだとすれば、受信料水準値下げ要求は今後もずっと続いてしまうことになるのではないか。ガバナンスと業務改革の進捗程度の周知、社会的合意の獲得が今後ますます重要になるのではないか。そのなかではSNS時代における『公共メディア』とはなにか。そういった議論も必要ではないか」
と、公共放送としてのNHKのあり方を根本的に議論すべきだとした。
一方、今回の寺田総務相のNHKに対するこの「ダメ出し」発言、受信料がさらに安くなりそうというわけだから、「歓迎」の声が湧き起こっていると思いきや、ヤフーニュースのコメント欄では「批判」と「疑問」が相次いでいる。
たとえば、「NHKはスクランブル化すべきだ」という意見が非常に多かった。スクランブル放送とは、契約した人だけがテレビを視聴できるシステムだが、政府もNHKも反対の立場をとっている。こんな意見が相次いだ。
「スクランブル化をなぜできない。(総務省は)携帯会社には大鉈(なた)振って斬り込んだのに、NHKはわずかな値下げだけ」
「(寺田大臣)皆が言っている通り、そこじゃないって。ネット社会の今、NHKのあり方自体が問われている。テレビを持っていたら受信料払えということ自体が、今の時代に全く合わない」
「もう今回の台風でもネットで情報収集していたし、雨雲レーダーもスマホのほうが便利だし、速報もスマホに入ってくるし、ほんまテレビ自体を見なくなっている」