「おっ、このゲーム面白そう!」「まあ、この高級ブランドのバッグ、こんなに安い!」
フリマアプリや通販サイトを通じて、個人輸入が盛んとなっているが、もし模倣品(コピー品)だったら税関で没収されることになったのをご存じだろうか。
2022年10月1日からに改正商標法・意匠法・関税法が施行され、海外事業者から日本に模倣品が入ることを防ぐ水際対策が強化されたためだ。
国民生活センターは2022年10月12日、「模倣品に関するトラブルにご注意!」というリポートを発表。「個人使用」の目的であっても、海外事業者から模倣品を輸入したら規制対象となる、と警告している。
健康と安全の危険がある医薬品・おもちゃが急増
財務省が今年9月に発表した「知的財産侵害物品の差し止め状況」によると、今年上半期に税関が差し止めた知的財産侵害物品(模倣品)の数は1万2519件(点数では40万4684点)にのぼり、11年連続で1万2000件を超えた。
多くはバッグ、衣類、靴などの海外高級ブランド品やゲームソフトなどだが、使用すると健康や安全を脅かす危険性がある医薬品や化粧品、電気製品、家庭用雑貨などが増えているのが特徴だ。とくにコロナ禍の影響もあり、医薬品の輸入差し止め点数が前年同期と比べて2.4倍も増えている。
輸出された地域別では中国(全体の72.9%)がダントツに多く、次いでベトナム(9.6%)、台湾(5.1%)、フィリピン(3.2%)と続く。
知的財産侵害物品(模倣品)は、本物を製造・販売している企業の利益を害するなど、経済に悪影響を及ぼすだけではない。現地の犯罪組織の資金源になっている。また、医薬品はもちろんだが、子どものおもちゃなど生活用品の使用事故も後を絶たない。
そこで、これまでは「個人目的」の模倣品は、税関で発見されても没収の対象外だったが、10月1日からは没収の対象になった。最終的に、知的財産を侵害する物品に該当すると認定されて没収される。消費者の手元には届かず、代金については税関では補償しない。消費者が自己責任で購入した海外事業者(通販サイトなど)と交渉することになる=図表参照。
悪質な詐欺サイトを見極める11のポイント
しかし、詐欺的な販売サイトから代金を取り戻すことは困難だ。国民生活センターでは、「模倣品のトラブルを避けるためには、注文前にサイトの商品情報や事業情報をチェックしよう」として、チェックリストを紹介している。
以下の項目のどれかがあてはまるサイトは要注意だ。
(1)サイトのURLの表記が、ブランドの正式な英語表記と少しだけ異なる。
(2)日本語の字体、文章表現が不自然。
(3)ブランド、メーカー品で価格が通常より安い。
(4)市場では希少なものがこのサイトでは入手可能となっている。
(5)事業者の名称、住所、電話番号が明確に表記されていない。嘘の情報が記載されている。
(6)海外の電話番号の国番号が住所地と異なる。
(7)事業者の名称、住所、代表者名などをインターネットで検索すると、他のサイトでも同一の内容が表示されている。
(8)問い合わせ先のメールアドレスがフリーメール。
(9)問合せ電話番号が通じない。
(10)キャンセル、返品、返金のルールがどこにも記載されていない。
(11)支払方法が銀行振込に限定されている。
これを参考に、くれぐれもご注意願いたい。
(福田和郎)