筋の通った対応をすることが大切
最後に、炎上「前日」までに、企業と社員が知っておくべきことをまとめている。
投稿内容に問題があれば、限定公開であっても拡散、炎上すること。ひとたび炎上すれば、匿名アカウントでも個人が特定されうるという。したがって、「自宅玄関ドア」に貼れるものが、ネット・SNSに投稿できる限界、と指摘している。
また、ペナルティ設定がない社内ルールは、単なるスローガンにしかすぎない。したがって、社内ルールがちゃんと機能するか、動作テスト(訓練)で確認することを勧めている。
小木曽さんは、多様性のある社会を守るために、企業が筋の通った対応をすることが大切だ、としている。「炎上が理不尽な言いがかりなら、当たり屋に勝てるロジックで戦う、筋の通った反撃態勢を準備する」ことを期待している。
非実在型の炎上にあった食品メーカーの例を挙げて、言いがかりに屈することがなかった姿勢を高く評価している。
「企業は、その戦い方で社会的評価を獲得し、企業価値を高めることができる。そしてその姿には、他の企業を勇気づける力すらあるのです。素敵です」と結んでいる。
企業のネット炎上を「野次馬」のように面白がるのではなく、何が問題なのかを見極めることがネットユーザーにも求められているのではないだろうか。
気に入らないものが存在することを認める寛容さが、社会の多様性を確保するのだから。
(渡辺淳悦)
「炎上しても大丈夫 今日から使える企業のSNS危機管理マニュアル」
小木曽健著
晶文社
1540円(税込)