企業が「プランA」に固執してだいたい失敗するのはなぜか?

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障害を乗り越えて、「プランB」を発動させるには?

   そうした障害を乗り越えて、「プランB」を発動させる方法を取り上げている。

   1つはローマ・カトリック教会が、採用した「悪魔の代弁者」という機能だ。新たな聖人候補が挙がった際に本当にふさわしいかどうか検証するものだが、内部のしがらみに惑わされない、内部情報をよく知っている人が調査に当たったという。

   米軍には「レッドチーム」という組織があり、2000年代に入って標準的な意思決定プロセスに取り入れられたという。6つの鉄則があるそうだ。

1 チームを組織トップの直属にすること
2 外側から客観的に評価し、内側から気遣いを持って実行すること
3 健全で大胆な猜疑心を持つこと
4 意外性が高い活動をすること
5 問題を棚ざらしにしないこと
6 頻度にこだわること

   もう1つは、アイデア集約と実行のための仕組みをつくることだ。

   オープン・イノベーション(OI)が代表例だ。ベンチャー企業、大学などが持つ技術と自社の持つ経営資源を組み合わせるものだが、研究、開発、製造、マーケティング、販売というバリューチェーン全体にわたって外部の力を取り入れるのが、本当のOIだとしている。

   それと、AI(人工知能)にできない「課題発見」をヒトが行うことも、方法の1つだ。

   ここでは要点を列挙しただけだが、本書のなかでは、さまざまな企業での実践例が詳しく紹介されている。

   新書判だが、非常にカロリーが高い本だ。経営共創基盤グループの冨山和彦会長は「プランBの質とプランBへの鮮烈な転換力こそが、長い停滞からの日本企業復活の鍵だ」と本書を推薦している。

   プランBという手法は、企業だけでなく、個人の人生設計についても有効だと思った。だが、自分をどこまで客観視できるのか、難しいところもある。

   思うようにいかないのが人生といえば、それまでだが。

(渡辺淳悦)

「『プランB』の教科書」
尾崎弘之著
集英社インターナショナル
1056円(税込) 

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