「プランA」が行き詰ってしまう原因とは?
本書には多くの企業の失敗例が出てくる。そして、すべての「プラン」はなぜうまく行かないのか、「プランB」はなぜ発動できないのか、と論を進める。
まず、「プランA」が行き詰まる原因として、次の要因を挙げている。
1市場が求める「技術レベル」が変わる ハイブリッド車からEV(電気自動車)に、など
2「コスト構造」が変わる 医薬品では技術進化がコストを増やすという想定外の事態に
3「顧客のニーズ」が変わる コロナ禍で宅配のニーズが変化など
4「顧客の顔ぶれ」が変わる
5「規制」が変わる 政府や自治体の規制が変化をもたらす
6「世間の気分」が変わる 個人情報のアクセスへの忌避など
苦労して作った「プランA」の前提になっている諸条件は、上記のように容易に変化する。これらは、自社の努力では防げないものが多い。
運命に逆らうことができなければ、未来の変化を受け容れて「プランB」を用意することが唯一の選択肢である、と説いている。
しかし、「プランB」の発動は容易ではない。以下のさまざまな障害があるからだ。
・何かに縛られる(組織、事前に与えられた情報、集団内の常識、現場からの提言など)
・思い込みに左右される(やらなかった後悔はしたくないという思い込み、少ないサンプルで全体が分かるという思い込み、見たものは信頼できるという思い込み、分かりやすいことは正しいという思い込み、結果がすべてという思い込み)
・数字に操られる(既に起きた損失に縛られる、少額の赤字に操られるなど)