転職すべきか?...「今が1社目なら、出てみましょう」
「今の会社に留まるべき? 外に出るべき?」というキャリア相談に対して、少し意外な回答をしている。「今が1社目なら、出てみましょう」というのだ。
安易な転職を勧めているわけではないが、「1度経験しておけば2度目や3度目の転職の年齢がいくつであっても、経験済みのものは対応へのハードルが一気に下がる」。
2社目、3社目であれば、「一旦留まるべき」と助言している。河野さん自身も、20代のジョブホッパー経験からの学びがあり、30代はIBM1社で過ごすことを強く決意。そこで培った力やネットワークが今も生きているという。
もちろん、明らかなパワハラやセクハラ、ブラックな環境下にあると思われる場合、話は別だ。すぐに助けを求めよう。
◆「積極的に休みをとることもおすすめ」
「いつか起業したいけど、勇気がない」という人には、「その気さえあれば、起業に勇気は必要ない」と答えている。河野さんもサラリーマンをやりながら起業した。会社が認めていれば、会社への説明と必要な手続きを行い、決められたルールを守れば問題ないという。
「役職が全然上がらない」という現実的な悩みに対しては、「実力があるのに昇進しないなら、『できた余裕』を別のことに使ってみる」とアドバイスしている。
なかには、マネジャーとかリーダーとか部下を持つ立場の人もいるだろう。そういう人には、「究極的には自分がいなくても回る組織を作ること」と答えている。
最後に、「走り続けることに疑問を感じたら、むしろ積極的に休みをとることもおすすめします」と書いている。
河野さん自身、長いキャリアの節目節目で長い休みをとっている。「頑張れ!」というだけの根性論は通用しない時代の働き方を説いた本でもある。
(渡辺淳悦)
「社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ」
河野英太郎著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
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