円安加速1ドル147円突破! どうなる世界経済? エコノミスト「米株価下落、リーマン・ショック時そっくり」、「ドル1強、金融危機招く」?

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世界同時不況の危機をさらに招くドル1強状態

「強すぎるドル」にG7各国から不満の声が相次いだ(写真はイメージ)
「強すぎるドル」にG7各国から不満の声が相次いだ(写真はイメージ)

   リーマン・ショックといえば、国際通貨基金(IMF)が10月11日、世界経済が想定以上に減速している最新の「世界経済見通し」を公表した。来年(2023年)の実質成長率を前年比プラス2.7%になるとした。これは、リーマン・ショック(2009年)や新型コロナ(2020年)でマイナスに転じた年をのぞくと、2001年以来の低成長率だ。

   コロナから回復した昨年(2021年)のプラス6.0%に比べると、大幅の減速だ。世界経済を牽引して来た米国・中国・欧州の失速ぶりが目立つ。IMFは「2023年の成長率について、25%の確率でプラス2.0%を下回る」というより厳しいシナリオも示した。

   そんなデータから、「足下に世界同時不況が来ているのに、米国に金融政策が危機を招いている」と批判するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。リポート「近づく世界同時不況の足音:強まるドル高の弊害と国際協調の揺らぎ(IMF世界経済見通し)」(10月12日)のなかで、FRBのタカ派姿勢によってドルの1強状態になり、金融の国際協調が揺らいでいるとの論調で、こう指摘した。

「物価高を助長してしまう自国通貨安に何とか歯止めをかけようと各国は躍起になっている。日本を除く主要国は、米国の急速な利上げに懸命に付いていくことで、対ドルでの自国通貨安を食い止めようとしているのである。
しかし多くの国、特に欧州の国々は、米国よりも景気情勢が厳しい。そうした中で米国の急速な利上げに追随すれば、国内景気は犠牲となってしまう。一方で、金融引き締めを控えて通貨安を容認すれば、それがもたらす物価高によって、やはり国内経済に打撃が及ぶのである。各国の政策はディレンマに直面している」
円安加速に手を打たない日本銀行本店
円安加速に手を打たない日本銀行本店

   そして、こう結んでいる。

「今後は、米国に対して急速なドル高やそれを引き起こしている大幅利上げ策の修正を求める声が、先進国からも高まるのではないか。しかし米国は、当面そうした声に耳を貸すことはないだろう。その場合、国際金融の分野では、先進国間の国際協調は揺らいでいく可能性がある」
「他方、ロシアのウクライナ侵攻以降、新興国と先進国の間には分断化の傾向が強まっており、世界経済の安定のために両者が協調する傾向は一気に薄れている。この2つの面での国際協調の揺らぎ、あるいは機能不全が、世界経済の見通しを一段と厳しいものとしている」

   「最悪はこれからだ」というわけだ。

(福田和郎)

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