地元では有名な創業90年の老舗「かまぼこ」だったが...
(2)(株)まるなか本舗(長崎県)。負債額約4億4700万円。創業90年の老舗のかまぼこ、ちくわなどの水産練製品製造業者。「まるなか」ブランドは、長崎を代表する蒲鉾(かまぼこ)メーカーの1社で、品質・味ともに評価が高く、直売店での販売のほか、スーパー、食料品店などへの卸売も行い、ピーク時は20億円ほどの年売上高を計上していた。
しかし、2020年10月、長崎市の総本店が隣接する建物の火災によって全焼。移転新築した長崎駅高架下の「長崎街道かもめ市場」に新店舗をオープンさせるなど再建を図っていたが、すり身などの原材料価格の高騰を受け、経営破綻に追い込まれた。
(3)(株)ソックスジャパン(東京都)。負債額約7億5568万円。2011年4月設立。シャツやカットソー、スカートなどのレディースカジュアルウェアを扱い、自社ブランド「Wordtrobe(ワードトローブ)」も展開。OEM製造(他社ブランド製品の製造)も手がけ、中国やバングラデシュの協力工場などで生産。大手アパレルチェーンとの取引を強化し、2022年1月期には年売上高約12億7200万円を計上していた。
しかし、コロナ禍での業績悪化がみられたほか、最近は売り上げ拡大の半面、収益面では苦戦を余儀なくされ、欠損計上が続いた。そこにウクライナ危機に伴う原材料高や急速な円安も加わり仕入れ価格が大幅に上昇。制度融資でしのいでいたが、利益低下が顕著となり、従業員の退職も重なって支え切れなくなった。
帝国データバンクでは、こう警告している。
「9月の全国企業倒産件数は5か月連続で増加となった。中小・零細企業の多くは、コロナ禍で経営体力を消耗している状態が依然続いている。ゼロゼロ融資などコロナ関連融資の返済局面で、足下の燃料、原材料、電気代、物流コストの高止まりによる収益悪化が企業を襲う。
電気代の上昇や円安の進行も加わり、物価高の影響が徐々に本格化している様相がうかがえる。総合経済対策による物価高への効果がすぐに表れるかは不透明な部分も多く、資金需要が例年高まり、企業倒産が相次ぐ年末にかけて、物価高倒産はさらに増加していく可能性がある」
(福田和郎)