「世論調査」の賛否、設問により真逆の結果に
ウクライナ問題を契機に風雲急を告げる日本の原発政策だが、いまのところ、世論の方向も定まっていないようで、相反するような世論調査結果が出ている。
新増設について、朝日新聞(8月27、28日)の世論調査では賛成34%、反対58%、毎日新聞と社会調査研究センター(9月17、18日)でも、賛成36%、反対44%と、反対多数だった。
一方、NHK(9月9日~11日)は賛成48.4%、反対31.6%、日本経済新聞(9月16~18日)も、「評価する」53%、「評価しない」38%と、真逆の結果が出ている。
これには設問もからんでおり、朝日や毎日は新増設の賛否をシンプルに尋ねているのに対し、NHKと日経は首相が「検討を指示した」ことへの賛否・評価を問うている点で異なる。
脱原発のNPO法人原子力資料情報室は朝日とNHKの調査発表後、「要請 原発新設に関する世論調査について」との文書を公表。NHKの設問が「原子力発電所の政策をめぐって、政府は、次世代の原子炉の開発や建設を検討する方針です。この方針に賛成ですか。反対ですか」というものだったことを指摘し、「『次世代』や『革新炉』と呼ぶと、あたかも安全性が飛躍的に高まった未来の原発であるかのような印象を与える。しかし、現実的に建設されうるのは、現在存在する原発、またはそれが若干改良された程度のものになる」として、「次世代」などの表記が「回答者に不要な先入観を与えてしまうことになる」と批判している(2022年9月16日付)。
電気料金の高騰など国民生活にも大きな影響が広がる中、原発をエネルギー政策の中にどう位置付けていくか、難しい議論が続く。(ジャーナリスト 岸井雄作)