原発「運転期間」の延長へ...エネ庁は法改正検討、規制委も追認
もう一つ、ここにきて急展開したのが、原発の運転期間の延長だ。福島第一原発事故後、原子炉等規制法(炉規法)を改正し、原則40年、規制委が認可すれば最長20年延長できることになっている。
これについて22年9月22日で総合エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の原子力小委員会で、経産省・資源エネルギー庁は「一つの目安であり、明確な科学的な根拠はない」との認識を示し、委員からも「(期間延長は)費用対効果が優れている」と評価する声が目立ったなどと報じられている。
さらに、10月5日の原子力規制委では、エネ庁の担当者が期間延長に向け、炉規法改正の考えを表明。規制委の山中伸介委員長は「エネ庁における検討そのものに、規制委が意見を述べる立場にはない」と、従来からの規制委の見解を踏襲する考えを示した。
規制庁は運転延長の議論を踏まえ、老朽化した原発の安全性をどう確認するか検討するよう事務方に指示した。
規制委は運転期間を何年にするかは「政策判断」だとして関与せず、あくまで専門家として安全審査を厳格に行う立場ということで、実質的に経産省の方針を追認するものだ。
外国のケースは、たとえば米国は延長で80年まで認められたケースがある。英国とフランスは運転期間に制限はなく、10年ごとに安全審査を受ける。
経産省エネ庁はこうした例も参考に検討する構えだが、当面、安全審査で停止している時間を運転期間から除外するなどして実質的に延ばす案なども浮上している。