「小室夫妻追っかけ」英タブロイド紙、ヘンリー王子&大物歌手らに訴えられた!?(井津川倫子)

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   先週に続いて(「なぜかメーガン妃とヘンリー王子が大慌て?! 「暴露本」とネトフリ番組、必死で「再編集」しようとする理由とは(井津川倫子)」)、ヘンリー王子の話題です。

   回顧録の出版をめぐり注目を集めているヘンリー王子が、「プライバシー侵害」で英タブロイド紙を提訴。新たな「宣戦布告」だと話題になっています。

   ヘンリー王子が提訴したのは、大衆紙「デイリー・メール」などを発行する英国の老舗メディア、アソシエイテッド・ニュースペーパーズ社(以下、AN社)です。

   ヘンリー王子とタブロイド紙の「戦い」は今に始まったことではありませんが、今回は大物歌手エルトン・ジョンや俳優エリザベス・ハーレイといった豪華セレブとタッグを組んでの動きとあって、波紋を広げています。

   デイリー・メールといえば、「眞子さん追っかけ報道」で独特の存在感を示していますが、今回の提訴がどう影響するのでしょうか? 背景を追ってみました。

  • ヘンリー王子が英タブロイド紙を提訴と話題に(写真はイメージ)
    ヘンリー王子が英タブロイド紙を提訴と話題に(写真はイメージ)
  • ヘンリー王子が英タブロイド紙を提訴と話題に(写真はイメージ)

ヘンリー王子の提訴、小室圭さん「3度目の試験結果報道」への影響は?!

   マスコミあしらいが上手い兄のウイリアム皇太子と比べて、あまり友好関係を築いてこなかったヘンリー王子。元来の「マスコミぎらい」に拍車をかけたのが、メーガン妃をめぐる報道合戦だとされています。

   2019年に「メーガン妃を守るため」として英タブロイド紙を提訴して以来、複数のメディアを訴えてマスコミへの対抗姿勢を強めていましたが、このたび、エルトン・ジョンら豪華メンバーと一緒に「電話を盗聴された」などと訴えて、世界中の注目を集めています。

Elton John and Prince Harry sue Daily Mail publisher over 'privacy breach'
(エルトン・ジョンとヘンリー王子が、「プライバシーの侵害」でデイリー・メールを訴えた:英BBC放送)
sue A over B : AをBで訴える
privacy breach:プライバシーの侵害

   豪華メンバーもさることながら、関心を集めているのが提訴内容です。ヘンリー王子らは、AN社が「abhorrent criminal activity」(忌まわしい犯罪行為)に加担した証拠があると主張していますが、法律事務所が公表した内容を見ると、「盗聴器をしかけるために私立探偵を雇った」「警察官にワイロを払って情報を得ようとした」「不法な手口で銀行口座やクレジットカード情報を入手しようとした」など、おどろおどろしい事例がずらりと並んでいるのです!

   具体的な「証拠」は示されていませんが、もし本当だとしたら「プライバシーの侵害」を超える犯罪そのもの。AN社は「preposterous smears」(ばかげた中傷)だと否定していますが、ある程度、強引な取材があったことは想像に難くありません。

   ここで気になったのが、「眞子さん報道」への影響です。デイリー・メールといえば、ニューヨーク在住の小室圭さん、眞子さん夫妻をコンスタントに取材している唯一のメディアで、夫妻がニューヨークに移り住んでから約1年、貴重な二人の姿をとらえた動画や写真を提供してくれていました。

   とくに、切れ味するどい「ファッションチェック」が人気で、司法試験に挑む小室圭さんの髪型からスニーカーまで、微に入り細に入り伝える姿勢には、皇室報道への並々ならぬガッツとプライドを感じさせるほどです。

   デイリー・メールは英国で2番目の部数を誇る老舗タブロイド紙で、王室好きな「保守層」に人気があります。今回のヘンリー王子ら豪華メンバーによる「プライバシー侵害」提訴を受けて、同紙の王室報道に変化が生じるのでしょうか?

   2022年10月末には、小室さん3度目の司法試験結果が公表される予定です。デイリー・メールの報道を心待ちにしている「ファン」も多いはず。ハラハラしながら、現地発の情報を待ちたいと思います。

著名人VS英タブロイド紙、カミラ王妃の元夫も訴えていた

   じつは、「プライバシーの侵害」、とくに「盗聴」をめぐる英メディアの反応は非常にナーバスなものがあります。今回のヘンリー王子らによる提訴に対して、AN社が素早く「preposterous smears」(ばかげた中傷)であり、「pre-planned and orchestrated attempt to drag the Mail titles into the phone hacking scandal」(わが社を盗聴スキャンダルに巻き込むために、あらかじめ計画され、組織化されたたくらみだ)と反応していることからもわかるように、社の存続を脅かす危険なテーマなのです。

   実際、2011年には、英国で1・2位を争う大部数を誇っていた人気タブロイド紙「ニュース・オブ・ザ・ワールド」が、電話盗聴スキャンダルで廃刊に追い込まれています。ちなみに、この時の「盗聴被害者」リストには、ウイリアム皇太子も含まれていたとのこと。

   報道によると、現時点でAN社以外の複数メディアが著名人から「プライバシー侵害」で訴えられており、なかには、2023年6月の戴冠が発表されたばかりのカミラ王妃の元夫アンドリュー・パーカー・ボウルス氏に訴えられているケースもあるそうです。

   皮肉なことに、エリザベス女王の崩御に伴い、英国王室への注目はますます高まるばかり。ヘンリー王子と英メディアの「停戦」は遠い未来に持ち越されそうです。

   それでは、「今週のニュースな英語」「sue A over B」(AをBで訴える)を使った表現を紹介します。ビジネスの場面でよく使われる表現です。

I'll sue you over unpaid wages
(給料未払いで訴えるぞ)

Uffizi Galleries sue Gaultier over use of Botticelli images
(ウフィツィ美術館がボッティチェリの絵の無断使用で、ゴルティエを訴えた)

I sue company over termination (不当解雇で会社を訴える)

   英国では、新聞は宅配ではなく駅の売店で買う習慣です。キャッチーな王室メンバーの写真にひかれて手に取ると、まったく関係のない記事ばかり...ということもよくあります。英メディアのしたたかな「営業戦略」に、油断は禁物です。

(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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