日銀が政策を修正する以外、物価高を抑える方法はない?
ところで10月13日、日本銀行が発表した9月の企業物価指数は前年同月より9.7%も上昇、19か月連続で前年同月を上回り、過去最高を更新した。資源価格の高止まりに加え、急速に進む円安が響いたかたちだ。
この物価上昇に歯止めをかけるため日本銀行は政策の修正を打ち出すべきでは、と訴えるのが野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。
木内氏はリポート「為替介入でも止まらない円安が物価高懸念の中心」(10月13日付)の中で、
「主要国の中では唯一、為替の安定に配慮した金融政策運営を行っていないのが日本銀行である。他の中央銀行とは異なり、通貨安回避も含めて物価の安定確保に向けた取り組みを示さない日本銀行の姿勢が、長期間にわたる物価高を許してしまうことを、企業、家計、政府は懸念しているのではないか」
と疑問視した。
日本銀行自身が発表した企業物価統計(9月速報)を見ると、日本の物価高のけん引役が、海外での食料・エネルギー価格の上昇から円安にシフトしてきていることを裏付けているという。
「その結果、日本の物価高現象を、国内政策の手が及ばない海外の商品市況高のせいにすることは根拠を失ってきている。日本政府が担う為替政策、為替市場に影響を与える日本銀行の金融政策が、国内物価動向、先行きの物価見通しを決める大きな要素となってきたのである」
つまり、政府がいくら物価高対策を行っても、世界で孤立状態にある日本銀行の金融緩和策に大きな原因がある円安に手を付けないと、根本的な解決にならないというわけだ。木内氏はこう結んでいる。
「政府による為替介入実施後も円安進行に歯止めがかからず、その効果について期待が次第に剥落するなか、日本銀行が為替の安定を通じた物価安定の確保に強い姿勢を示し、それを裏付ける政策修正を行うことへの期待は、今後さらに高まっていくだろう」
(福田和郎)