トヨタ自動車などが静岡県小山町の富士スピードウェイで開設準備を進めていた「富士スピードウェイホテル」と「富士モータースポーツミュージアム」が2022年10月7日、オープンした。
富士山を間近に眺め、サーキットを見下ろせる9階建てホテルの1~2階を博物館にするというユニークな複合施設で、クルマ好きの新たな聖地として話題を呼びそうだ。
国内外のモータースポーツで活躍した伝説の名車約40台を展示
博物館の注目は「国内外の自動車メーカー10社が連携している」という点だ。トヨタに限らず、ライバルメーカーも自社の車両を展示するモータースポーツの博物館は世界初の試みという。
館内には1990年代の世界ラリー選手権(WRC)に参戦したトヨタセリカGT-FOURや三菱ランサーエボリューション、1969年の日本グランプリで優勝した日産R382、1991年のル・マン24時間耐久レースで日本車として初めて総合優勝したマツダ787Bなど、国内外のモータースポーツで活躍した伝説の名車約40台を展示している。
世界のモータースポーツの約130年の歴史も紹介する。
その始まりは19世紀末にフランスで行われた自動車レースで、「馬車に代わる新しい移動手段として、蒸気、電気、内燃機関のどれが一番優れているのか。その決着をつけるための競争の中から誕生した」という。
さらに、「世界の自動車メーカーが群雄割拠する時代に、最も効果の高い宣伝はレースで勝つことだった。自動車メーカーは威信をかけてレースに挑み、熾烈な競争の中で技術を飛躍的に進化させていった」と、モータースポーツが果たした役割を伝えている。
それから戦後、日本の自動車メーカーも耐久性やスピードだけでなく、燃費性能も試されるラリーや耐久レースなどに積極的に参戦。モータースポーツで培った先進技術を市販車へフィードバックしていった。