日本のiPhone人気は根強く、型落ちモデルも愛され続ける
ところで、MM総研では「iPhone指数」という興味深い指数を持ち出して、各国を比較している。その国のiPhone14価格を平均賃金で割ったものだ。平均賃金はOECD(経済協力開発機構)などのデータを参照した。指数の値が小さいほどiPhoneを購入しやすいといえる。
日本のiPhone指数は2.06%。37の国・地域の中で18番目に小さい値となった。つまり、iPhoneの購入しやすさでは、平均的順位といえる。詳しく見ていくと、最も小さいのはシンガポール(0.80%)で、2位米国(1.21%)、3位アラブ首長国連邦(1.25%)と続く。一方で、最も高いのはインド(13.63%)となった=図表4参照。2番目に高いのがフィリピン(10.89%)、3番目に高いのがブラジル(9.16%)だ。
iPhoneの購入しやすさでは、日本は世界の中で平均的順位なのに、ほとんどのiPhoneが最安となっているのはなぜだろうか。
今回の調査について、MM総研ではこう分析している。
「2022年9月時点における日本のiPhone14シリーズ価格は最安となった。しかし、7月にiPhone13シリーズ等の価格改定が行われたように、iPhone14シリーズの価格が1年間維持されるかは不透明だ。為替相場の変動によっては、再度の価格改定が行われる可能性は高いといえるだろう。さらに高くなった場合には約50%のiPhoneシェアは減少することも予測される。
しかしながら、日本におけるiPhone人気は根強く、(1)アップルオンラインでも継続販売されるiPhone13やiPhone12の型落ちモデルが長く支持される可能性、(2)携帯キャリアやアップルによる下取りサービスのさらなる利用拡大、(3)中古事業者やフリマサイトでの売却及び中古購入の増加――により高級品となりつつあるiPhoneを継続利用したいと考えるユーザーは多いことが想定され、シェアの維持・拡大を図ることも十分に可能だろう。今後の価格変動とAndroidスマートフォンとのシェア競争にも注目したい」
アップルが日本での高い人気とシェアを維持するために、戦略的に価格を設定したとみられるというわけだ。
調査では、日本、中国、台湾、韓国、インド、タイ、シンガポール、米国、カナダ、スイス、イギリス、フランスなど37国・地域のアップルオンラインでの直販価格(消費税などの税金を含む)を比較した。価格は、2022年6月1日・同7月6日・同9月12日時点での為替のレート基づき、円換算して比較した。