「米国株100%」+「金100%」=200%のファンド
では、「Tracers S&P500 ゴールドプラス」はどんなルールに沿った商品なのか――。有賀さんに説明してもらった。
「この商品は代表的な米国株式指数のS&P500に100%、さらに昨今の『有事』で注目される金にも100%、合計で200%相当額を投資するルール。リターンの向上とリスク要因の分散を同時に目指すファンドです」
S&P500に100%分を投資する際、すべてを現物株式に投資するのではなく、一部(約15%)に株価指数先物取引を活用することでキャッシュを確保する。このキャッシュを証拠金として活用し、金先物取引を通じて金にも100%相当額を投資する。こうして、合計で200%に相当する額の投資を実現する仕組みだ。
有賀さんは、次のように説明する。
「投資手法の一つにリスクパリティ(Risk Parity=ポートフォリオに占める各資産のリスクの割合が均等になるように分散して保有すること)という考え方があります。米国株の部分と金のリスクは比較的近いので、1対1の割合で組み合わせるというのがリスク分散効果として理に適っています。
例えばレバレッジをかけずに米国株式と金に50%ずつ、計100%分を投資することでも分散効果は得られます。しかし、投資効率を考え、いまは毎月積み立てられる資金が限られるというような場合でも、将来の大きな累積リターンを目指すために200%相当分を投資することには大きな意味があります。長期的に積極的な資産運用を続けていくために、適切にリスクを取りながらも、効率的な分散投資をしていくという考え方です」
一方で、米国株と金には異なる値動きの傾向がある。また、S&P500の現物株式の部分は原則為替リスクがあるが、S&P500の先物指数と金は為替変動の影響を受けない。つまり、2倍のレバレッジを効かせて投資効率を追求したうえ、異なる値動きでリスクを打ち消し合う効果や為替の影響も分散されるという、二重、三重のメリットが見込めるわけだ。
「Tracers S&P500 ゴールドプラス」の運用ルールに基づいたシミュレーション結果。レバレッジ効果や金との組み合わせによる分散効果に加え、長期投資による複利効果が大きな差に