「コロナで労働統計はかく乱状態、指標性を失っている」
もっとも、「雇用統計に頼ること自体が経済を見誤ることになる」といったトーンで警鐘を鳴らすのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。
木内氏はリポート「米国労働需給は緩やかに緩和(9月雇用統計):11月0.75%の利上げ継続の観測強まる」(10月11日付)のなかで、
「労働関連統計は、新型コロナウイルス問題によって依然として大きくかく乱されており、指標性を失っている、あるいは景気に対して遅効性が強まっている可能性が考えられる」
と指摘する。だから、
「FRBが雇用統計に重きを置いて経済・物価の状況を判断し、急速な利上げを続ければ、景気を著しく悪化させてしまうオーバーキルのリスクは高まるのではないか」
と懸念する。
そもそも、現在の米国の雇用統計や物価統計など足元の経済指標は、事前予想を上回るものが少なくないが、
「その事前予想自体に下方バイアスがあるのではないか。事前予想との比較ではなく、数値自体で判断すれば、経済活動や物価上昇率は鈍化傾向にあることを示唆するものが多い」
と、FRBの「やりすぎ」を心配する。