一度上がるとなかなか下がらない「粘着物価」に注目
そもそも米国のインフレがしぶとい理由は何か。三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏は、リポート「米国のインフレが落ち着かない理由を探る」(10月4日付)のなかで、FRBが沈静化のターゲットにしている家賃など、なかなか下がらない「粘着性の物価」に注目した。
米国では、「帰属家賃」の項目だけでCPI(消費者物価指数)全体の約24%を占める。そのため、帰属家賃の動向に消費者物価に大きく影響を与えるのだ。なお、帰属家賃とは、持ち家に住んでいる人が、その家を借家とした場合に支払う想定家賃のこと。これがいったん上昇すると、なかなか下がらない傾向があるという。
「米アトランタ連銀は、帰属家賃や医療など、いったん価格が上昇すると、なかなか下がらない項目からなる『粘着価格(Sticky-price)CPI』を算出し、毎月公表しています。ただ、この指数も上昇傾向にあり(図表2参照)、米CPI、とりわけ食品とエネルギーを除くコア指数の伸びが明確に鈍化するか否かを見極めるうえでは、帰属家賃やSticky-price CPIの動きにも注意が必要と考えます」