こんな雇用統計の「理想形」が出てくれれば...
そんなわけで、雇用統計発表直後、一気に世界の金融市場が動くわけだが、具体的にはどこに注目すればよいのか。
第一生命経済研究所主任エコノミストの藤代宏一氏は、その名も「こんな雇用統計が欲しい」(10月4日付)というタイトルのリポートの中で、雇用統計の結果と、それにともなう金利と株価の予測の表を示している(図表1参照)。
「金利低下と株価上昇を望む金融市場参加者にとって理想的な雇用統計とは『雇用増とインフレ沈静化』の併存を示す結果になることであろう。労働参加率上昇を伴う雇用増が達成され、平均時給の伸びが鈍化すれば、Fed(米連邦準備制度)の引き締め警戒と景気後退懸念が同時に和らぎ、市場参加者は債券や株式を安心して保有・取得することができる。失業率は横ばいが望ましい(労働参加率上昇に見合った雇用増となり失業率が変化しない)」
しかし、雇用と失業率、賃金、インフレの関係は複雑だ。
「9月雇用統計の事前予想は雇用者数がプラス25.5万人(8月速報値プラス31.5万人)、失業率は3.7%で横ばい、平均時給は前月比プラス0.3%、前年比プラス5.0%である(中略)予想通りとなれば理想的な姿であるが、もちろん全てがそうなるとは限らない。
そこで雇用統計の結果別に予想される市場の反応を図表1にまとめた。金融市場参加者が恐れているのは雇用者数が弱く、平均時給の伸びが加速するケースだろう。景気後退懸念と引き締め観測を同時に惹起する」
この表を見るだけで、雇用統計の結果判断がいかに大変かわかる。