冬場に向け、ヨーロッパのエネルギー危機さらに深刻に
同欄では、日本エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員の小山堅氏は、大幅減産に対して、
「米国を始め、主要消費国にとっては、大幅減産で原油価格が上昇に転じることが懸念され、その懸念は産油国側にメッセージとしては伝わっていたものと思われるが、産油国のインタレスト(関心事)は、原油価格下支えと石油収入確保であった」
と、分析。そのうえで、世界経済に与える影響をこう説明した。
「7月以降ほぼ3か月続いてきた原油価格の低下傾向にこれで歯止めがかかろう。どの程度反転していくかどうかは、世界経済減速による石油需要鈍化・低下とのバランスによる。
しかし、当初市場関係者が予想していた100万B/D程度から一気に減産幅を積み増したことは、産油国の真剣さ・本気度を示しているともいえる。冬場に向けて、ロシア産のガス供給問題で欧州のガス需給や電力需給に懸念が集まっていたが、これで石油市場の行方も注目していく必要が高まった。円安傾向と相まって、原油価格がドルベースで上昇すれば、エネルギーコスト上昇が加速することになる」