物価高対策に政権浮揚かける岸田首相...与党の「バラマキ要求」に対抗できるか?

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日本経済持ち直すなか、「30兆円規模」検討の政府・与党に疑問の声

   思惑通りに国民の信頼を取り戻すのは、極めて難しそうだ。岸田首相が総合経済対策の策定を指示したことで、与党内では補正予算をめぐってバラマキ合戦が始まっている。

   政府・与党内では30兆円規模の大型対策が検討されているが、霞が関からは「物価高対策を織り込んでも、それほどの規模が必要とは思えない」との声が強い。日本経済は新型コロナウイルス禍の収束傾向もあり、持ち直しの動きを強めているためだ。

   与党側はコロナ禍を受け、「需給ギャップ」の大きさを大型経済対策が必要な理由にあげてきた。内閣府が9月に発表した4~6月の「需給ギャップ」は年換算で約15兆円。1年前に比べ7兆円程度、縮小している。

   与党側はこうした不利なデータを無視して、物価高を口実に「2021年の経済対策を上回る規模が必要だ」との大合唱だ。政界から財政規律が失われているのは明らかだ。

   1年前の首相就任直後、「聞く力」を強調して国民の期待を集めた岸田首相は、安倍氏の国葬を半ば独断で決めて、袋小路にはまった感がある。

   与党の声を聞き、実効性の薄い事業まで盛り込んで経済対策の規模を膨らませれば、岸田首相のリーダーシップの欠如を露呈することになりかねない。

   バラマキを求める声に「聞く力」で応じるのか、独断で決断を下すのか。追い詰められた岸田首相は大きな選択を迫られている。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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