5Gスマホ利用者の7割「4Gとの違い体感できない」調査結果...不人気な理由「つながらない」「電気食う」「なんちゃって5G多すぎ」

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   「超高速通信」「超低遅延通信」「多数同時」の3本柱を合言葉に「社会の大変革をもたらす」という触れ込みで始まった第5世代移動通信の「5G」だが、思いのほかスマートフォン利用者は冷めた意識で使っていることがわかった。

   ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社「MM総研」(東京都港区)が2022年9月27日に発表した「5Gスマートフォンの利用用途・サービス調査」によると、5G利用者の7割が4Gとの違いを体感できずにおり、期待とは大きくかけ離れた利用の実態があきらかになった。ネット上でも「不便だから5Gは切って使っている」という不満の声が聞かれた。

  • 「社会を大変革する」という5Gの触れ込みだったが…(写真はイメージ)
    「社会を大変革する」という5Gの触れ込みだったが…(写真はイメージ)
  • 「社会を大変革する」という5Gの触れ込みだったが…(写真はイメージ)

5G利用者の7割、4Gとの違いを体感できていない

   15~69歳までの5Gと4Gスマートフォン利用者計3万109人を対象としたMM総研の調査によると、まず、スマホで週1回以上利用するサービスを聞くと(複数回答)、5Gユーザーでは「動画のダウンロード、ストリーミング再生」(47.6%)で最多となった。次いで、「アプリのダウンロード」(34.0%)、「音楽のダウンロード、ストリーミング再生」(26.2%)、「オンラインゲーム」(24.4%)、「電子書籍の閲覧・読書」(21.7%)と続く=図表1参照

(図表1)スマホで週1回以上利用するサービス(MM総研の作成)
(図表1)スマホで週1回以上利用するサービス(MM総研の作成)

   4Gユーザーでも「動画のダウンロード、ストリーミング再生」(39.6%)と「アプリのダウンロード」(30.6%)が同じく1、2位となったが、3位には「オンラインゲーム」(20.3%)が浮上した=再び図表1参照

   「動画のダウンロード、ストリーミング再生」は5Gユーザーのほうが4Gユーザーより8ポイント高く、最も差があった。次いで、「音楽のダウンロード、ストリーミング再生」も5Gユーザーのほうが7.7ポイント高い結果となった=再び図表1参照。動画コンテンツが5Gの高速大容量で快適に利用できるという期待があるからだろう。

   次に、月間モバイル通信量を聞くと、5Gユーザーが平均12.3GB、4Gユーザーが平均8.4GBとなった。5G利用者のほうが平均3.9GB多く、スマホを積極的に活用してデータやサービスを利用していることがわかった=図表2参照

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(図表2)スマホの月間モバイルデータ通信容量(MM総研の作成)

   さて、5Gユーザーは、実際にどこまで5G通信を意識してサービスを利用しているのだろうか。

   週1回以上利用するサービスの中で、5G通信を意識して利用したサービスを聞くと、「特に意識して利用したサービスや機能はない」がダントツの7割近い69.0%という結果となった=図表3参照。一方、4Gユーザーにも、5G通信で利用したいサービスを聞くと、「特に利用したいサービスや機能はない」が48.8%と最多となったのだ。

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(図表3)5Gユーザーが5G通信を意識して利用したサービス(MM総研の作成)

5Gを活用したキラーコンテンツ、発掘できていない

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5Gの超高速、高画質の動画を楽しみたいが(写真はイメージ)

   この両ユーザーに共通する5G通信に対する冷めた意識はどういうことなのだろうか。MM総研では、こうコメントしている。

「動画コンテンツが5Gの高速大容量通信によって今よりも快適に利用できるようになるとの期待がある一方で、利用実態はその期待とは大きくかけ離れている結果となった。
4Gスマートフォン利用者が5Gを活用してサービスを利用してみたいと思う一方で、5Gスマートフォン利用者は4Gスマートフォン利用者よりもデータ通信サービスを利用しているものの、実際に利用する中で5Gと4Gとの間に大きな違いを体感できていないようだ。
動画コンテンツのほかに5Gを活用したキラーコンテンツを発掘できていないことも原因のひとつと考えられる。ユーザーの積極的な5G利用を進めていくには、4Gまでとの違いがより明確にわかりやすい形での訴求が求められる。メタバースなど5Gを利用することでより魅力的なものとなる新たなコンテンツやサービスの開発と普及が不可欠となるだろう」

   なお、調査は2022年7月、15~69歳の男女4万21人を対象にインターネットでアンケートを行い、5Gユーザー6353人、4Gユーザー2万3756人の合計3万109人から回答を得た。調査では以下の定義に沿って結果を分析した((1)「5Gユーザー」=5G通信プランを契約し、5G対応スマートフォンを利用している人/(2)「4Gユーザー(3G含む)」=5G対応の通信プランや端末を利用していない人)。

「なんちゃって5G」のせいで...5Gすごくない、となってしまう?!

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5Gがつながらないところが多すぎ?!(写真はイメージ)

   今回の調査結果について、ヤフーニュースのヤフコメ欄では、5G通信の基地局がカバーする範囲が現状ではまだ少ないため、使いにくさを訴える声が相次いだ。

「真の5Gなんてほんの一部のエリアでしか使えない。それ以外の5Gは、4Gを転用した『なんちゃって5G』だから、表示は5Gなのに速度は4Gそのまま」
「めちゃ速くなったと分かれば、5Gすごい!って誰でも思うよ。『なんちゃって5G』のせいで5Gってこんなもんかと思うだろうし、5G繋がるところがまだ少ないでしょ」
「5Gは、移動通信として考えるとサービスエリアのセルが狭過ぎる。立ち止まって使う分には問題ないが、ビルの中や電車の移動中は頻繁に5Gと4Gが切り替わるせいで、毎回パケ詰まりしてデータが流れて来ない。この使いにくさは、かつてのPHSと何ら変わらない。移動通信では、スピードよりも接続安定性の方が重要」
「家の位置が5Gと4Gの電波の間にあるのか、永遠に両方に切り替わり続けて全く繋がらなくなるから、結局5Gは切って使っている。サービスの前に使える範囲をどうにかしてほしい」
「5Gの良さを全く感じない。2時間の映画が3秒でダウンロードできるとかいっていた触れ込みはなんだったのよ。切り替わるときに繋がらなくなったりしてむしろ不便」

ダウンロードはバックグラウンドで行うし...

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どこがよくなったかいまひとつ体感できない...(写真はイメージ)

   また、こんな不満の意見も寄せられている。

「速さがどうこうのいう前に、アンテナMAXで繋がっているのにYouTubeが止まるのをなんとかしてくれ。4Gでは全然問題なかったのに」
「コンテンツがないまま地デジに移行したのと同じですよね。エンドユーザーが行うことが何も変わらないため、『良くなった』かどうかもわからない。これまで行っていたことが『動作の度にX分待つ』だったとすると、『おお、なんか5Gになったら待ち時間が数秒になっている』『もう4Gに戻れない』となるが、今時、ダウンロードはバックグラウンドで行う。
(中略)5Gが必要なものを提供側に尋ねると『いやいや、お客様。時代は4K動画まであります。それに数十人が同時に遊べるゲームもあります』ばかり。そもそもそんなことしてないのだから意味ないっての。画質もフルHDとそれ以下すらイマイチ見分けついてないのだから、それを4Kにしても『細かいのはわかるが、それで?』で終わる」
「でかいファイルのダウンロードが1分かかろうが10秒で済もうが大した違いではない。さらに5Gにするとバッテリーの持ちが若干悪くなるなど、むしろデメリットがある。私の使っているスマホも5G対応のものだが、5G通信をあえてOFFにして使っている。バッテリーの持ちをよくするために」

(福田和郎)

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