介入でさらなる円売りか?
「週刊エコノミスト」(2022年10月11日号)の特集は、「止まらない円安」。24年ぶりに円買いの介入が行われたが、見通しは明るくないというのだ。
政府が9月22日に実施した円買い介入に、「財政破綻を早めるきっかけになったかもしれない」と強い危機感を示すのは、元モルガン銀行在日代表兼東京支店長の藤巻健史氏だ。実力に見合わない通貨高誘導は、市場の餌食になりかねない。
「今回の介入はポンド危機をほうふつとさせる」と言い、投機筋の思うつぼとなり、「第二のソロスが現れる」と危惧している。
市場では「当期筋が円売りをねらうだろう」という予想が広まっており、「ファンダメンタルズが動けば、それに伴って防衛ラインも変わる。現状で想定したラインを突破されたら第2次、第3次のラインを引いてくる。98年8月は147円66銭までいったので、その前後くらいに設定するかもしれない」という第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストの見方を紹介している。
第2部では97年の「金融危機に学ぶ」として、当時の関係者の声をまとめている。
「デフレ・マインドの起点となった」というのは当時、日本銀行の調査統計局課長だった早川英男氏(東京財団政策研究所主席研究員)。「学び直しで新スキルを」と提唱し、岸田政権の「人の投資」に期待している。
「『就職氷河期世代』を再生産してはいけない」というのは、太田聡一・慶応義塾大学経済学部教授。就職困難な若年層をサポートする制度的な仕組みの充実を訴える。
24年ぶりの円買い介入が多くのことを関係者に思い起させたようだ。
(渡辺淳悦)