ウィズコロナなら鉄道よりも航空機! 「跳ねる卯年」に期待のジャムコ【格言で買う! 株式投資】(石井治彦)

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   2022年1月1日掲載のJ-CASTニュース 会社ウォッチ「寅年は『千里を走る』右肩上がり!? 勢いに乗って株価は『跳ねる』卯年へまっしぐら」で、「寅は千里を走る」という格言があると書いた。意味は、躍進というよりも、政治・経済で波乱が起こりやすい相場と解釈されているという。

   寅年も残すところ、あと3か月。ロシアのウクライナ侵略や台湾をめぐる米中問題、世界的なインフレ、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていること...... と話題には事欠かない。英国ではエリザベス女王が亡くなり、11月には米大統領の中間選挙がある。波乱の要素がまだまだくすぶるが、確かに! 今年は格言どおりに世の中が動いているようだ。

   しかし、このような問題がすべて、いつまでも続くわけでもない。そこで2~3年先の平時の社会状況を思い描き、そこに焦点を当て銘柄を選んでみた。

  • 開発では「大切にもてなすラバトリー」を目指した(ジャムコのホームページ「プロジェクト ストーリー」のページより)
    開発では「大切にもてなすラバトリー」を目指した(ジャムコのホームページ「プロジェクト ストーリー」のページより)
  • 開発では「大切にもてなすラバトリー」を目指した(ジャムコのホームページ「プロジェクト ストーリー」のページより)

視界よし! ボーイング787への納入再開

   「2~3年後」の世の中は、どう動いているのだろう――。コロナ禍ですっかり定着したリモートワークで、サラリーマンのだいぶ出張が減り、満員電車もいくらかすいているであろうことを想像すると、JRグループや私鉄各線の乗客は減る。もちろん、少子化も影響するだろう。

   そう考えると、運輸の生き残りは「観光」だろう。観光地やホテル、テーマパークなどのレジャー施設と「一丸」になって、売上アップを画策するのが近道かもしれない。着目したのは、「ジャムコ」だ。

   ジャムコには、断トツの強みがある。同社は米ボーイング787のラバトリー(化粧室)やギャレー(厨房設備)、操縦室の内装・ドアを一手に引き受けている。ここだ。

   そのボーイング社は、2018年に過去最高の民間機納入(806機)を記録している。そのうち、最新鋭787の納入は145機(月間12機)にのぼる。

   ただ、2018年10月のライオン・エア610便や19年3月のエチオピア航空302便の墜落事故の影響(ともに737MAX)と、胴体に使用している炭素繊維複合材の結合部分から亀裂が生じる懸念から、737MAXと787機は出荷停止となっていた。20年11月、米連邦航空局(FAA)は737MAXの商用運航を認可。機体の納入再開が可能になり、今年8月には787ドリームライナーの承認審査が下りたことで納入が再開された。ボーイング社は787を、月間5機から立ち上げることを考えているようだ。

   そして、新型コロナウイルスの弱毒化により、世界の多くの国が「ウィズコロナ」で動き出した結果、旅客需要が大きく回復する状況にある。ビジネスでの利用はもちろん増えるだろうが、海外旅行者の需要が見込めるのは航空機の強み。国内のビジネス需要を主力とする鉄道とは、回復の伸びが大きく違うはずだ。

   まだある。ジャムコはプライム市場(旧東証一部の大型・中型・小型)の銘柄の中の、小型株に分類されている。株式市場が低調な時は、大型株は軒並低調な動きになるのに対し、小型株はその影響を受けにくく、全体の株価が下落傾向時でも銘柄によっては上昇することもある。ジャムコは、787機の出荷再開と、その後の増産の恩恵を享受する可能性が大きく、業績改善に伴う上昇幅が大きくなるとみている。

ジャムコ株「かなり入れ込んでいる」

   ジャムコのホームページなどによると、ラバトリーなどの構造材には、軽量で強度を兼ね備えたハニカム構造を採用していて、航空機材は顧客スペースを確保するため、限られたスペースに最大限の強度と軽量化と安全性が求められているというわけ。つまり、品質の良さは折り紙付きといえそうだ。

   ジャムコ株についてはこれまで、この会社ウォッチでも何度か取り上げてきた。実際に、株主総会や新潟工場へも足を運んで、その品質のよさを自身の目と耳で確かめもした。期待もしているし、かなり入れ込んでいると思う。

参考:「新聞ななめ読み投資術」石井治彦のこんな株買った! 「社長の市場予測に乗った! 低空飛行の「ジャムコ」株に買い材料」2017年6月4日

   しかし、その甲斐はあった(と思う)。ジャムコの企業業績は2021年3月期を底に、確かに上向いている。同社の第82期決算報告書の「航空機内装品セグメント」では、「航空機メーカーによる新造機生産は22年度横バイ、23年度以降は段階的に回復」の見通しを立てている。

   ジャムコは2021年3月期から無配を継続。23年3月期も無配の見込みだが、2~3年先を見た場合、ボーイング社の業績回復に伴う業績改善は十分に見込めると考えている。

   ジャムコ株はここ最近、毎日のように年初来高値を更新している。5年の中期チヤートで価格帯出来高をみると、1600円に(30~40万株)の出来高。それを超えると2200円に(70~80万株)の出来高が見られる。その後の節目は2400円、2900円となっている。

   9月16日時点で、保有900株の含み損はマイナス21万9600円。ちなみに、2018年8月27日(「新聞ななめ読み投資術」石井治彦のこんな株買った!「【追跡】航空機の内装品で絶好調のジャムコ 上昇気流にワクワク」の記事掲載時。ボーイング787の月間製造機数は12機)のジャムコ株の終値は2948円だった。まずはプラス転換を期待している。

【ジャムコ】(7408 )
2022年9月16日現在 保有900株 平均取得単価1656円
年初来高値2022/9/13  1594円
年初来安値2022/3/8  674円
直近 終値2022/10/3  1326円



プロフィール
石井治彦(いしい・はるひこ)
投資歴25年。「現物株式取引」と「長期投資」が基本姿勢。情報源はもっぱら会社四季報や日本経済新聞、経済誌など。また、株主総会やIR説明会には、できるだけ顔を出すようにしている。東京都出身。

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