「為替の世界の通貨売りは、限りなくイジメの世界に近い」
双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦氏だ。リポート「溜池通信 特集:強過ぎるドルと弱過ぎる円」(9月30日)のなかで、英国の「ポンド安」は「いじめ」にあったようなものだという。
「為替の世界における通貨売りは、限りなくイジメの世界に近い。何らかの経緯で、『どこそこの通貨は売りだ!』という認識フラッグが立ってしまうと、それを是正するのは並大抵の苦労ではなくなってしまうのだ」
「心配なのが、われらが円である。ポンドの次に円が売り込まれることは、できれば勘弁願いたい」
吉崎氏は、結果的に政府・日銀が為替介入の伝家の宝刀を抜いたことはよかった、と評価する。
「為替介入という行為には、相場を動かすほどの力はないものである。むしろイジメを誘発する恐れもあるところで、本来は『抜かずの宝刀』にしておくことが望ましい。(中略)当局としては、『たとえこの先が1ドル150円になると分かっていても、これを機会に円売りで儲けようという奴らを許さんぞ!』という意思表示が必要だったのであろう。その目的は立派に果たされた」
「当局が本気で『145円が防衛ライン』と考えているかどうかは定かではない。むしろ、『市場がそのように考えてくれれば儲けもの』といったところではないだろうか」
というわけだ。