ポンド危機は「為替の世界のいじめ」...エコノミストが指摘、岸田政権の総合経済政策が「いじめ」に遭わない3つの方法

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   英国のトラス政権が物価高を抑えるために、「国債増発」「大幅減税」「電気ガス料金値下げ」といった、思い切った経済施策を打ち出したとたん、ポンド危機を招き、世界の金融市場に混乱を起こした。

   ひるがえって2022年10月3日から始まった臨時国会では、岸田文雄政権は電気料金の激変緩和など、物価高対策を柱にした「総合経済対策」を提案しようとしている。

   その財源を国債発行に頼れば、世界最悪水準の財政がさらに悪化し、国際金融市場の猛反発を招き、ポンド危機の二の舞になりかねない。大丈夫か、岸田首相? エコノミスとの分析を読み解くと――。

  • 岸田文雄首相はどんな経済総合政策をまとめるか?
    岸田文雄首相はどんな経済総合政策をまとめるか?
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円も国債も売ることを封じられた投資家...日本株を売る?

   10月3日の東京外国為替市場では円が対ドルで下落し、一時1ドル=145円台前半を付けた。145円台は政府・日本銀行が円買い・ドル売りの単独為替介入に踏み切った9月22日以来の水準だ。

   為替介入は効果があったのか、なかったのか。今後も金融市場では目が離せない展開が続きそうだ。

   トラス英政権の場合は、財源の手当てがないまま、450億ポンド(約7兆円)規模の大型減税策などを公表したことで、英ポンドと国債市場の混乱が引き起こされた。同じことが日本でも起こらないだろうか。

経済危機に苦しむユニオンジャック
経済危機に苦しむユニオンジャック

   「英国で起こったことは、日本も含めた各国で起こり得る」と警告するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏はリポート「英国金融市場の混乱は他国にも飛び火か:米国利上げとドル高が底流に」(9月29日)のなかで、「今回の英国金融市場の混乱を、英国独自の要因で説明するのは誤りだろう」として、こう説明する。

「底流にあるのは、米国の急速な利上げとドル高という世界的課題である。それが変わらない限り、他の国でも英国と同様の金融市場の混乱は起こりやすい。さらに、そうした市場の混乱は、英国同様に当局の市場への介入が引き金となる可能性があるだろう。
例えば、日本では、日本銀行が長期金利の上昇を力づくで抑え込む政策をしている。他方、政府は為替介入で1ドル145円を超えるドル高円安を回避する姿勢を示している」
「ポンド安」が日本にも波及するか(写真はイメージ)
「ポンド安」が日本にも波及するか(写真はイメージ)

   その結果、何が起こるか。英国で「通貨安」「債権安」「株安」の「トリプル安」が起こったように、「日本株」の下落だという。

「円も国債も売り込むことを封じられたグローバル投資家は、日本株売りを通じて日本売りを実現させ、利益を得ようとするだろう。またドルベースで日本株に投資する海外投資家は、円安ドル高によってドルベースでの日本株の割高感が緩和されないことから、日本株を売却するかもしれない。
こうして国債市場と為替市場とがともに当局の介入によって統制されている日本では、そのしわ寄せが株価の下落となって表れやすいのではないか」
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