「高齢者世帯」と「子どものいる世帯」所得状況、生活意識を比べると...
では、各世帯における所得の状況はどうなっているかを、2020年1月1日から12月31日の1年間の所得で見ていこう。
1世帯当たり平均所得金額は、「全世帯」が564.3万円、「高齢者世帯」が332.9万円、「高齢者世帯以外の世帯」が685.9万円、「児童のいる世帯」が813.5万円となっている=表3。
所得の分布状況では、「300~400万円未満」が13.4%、「200~300万円未満」が13.3%、「100~200万円未満」が13.1%の順で多く、平均所得金額564.3万円以下は61.5%を占める。
つまり、平均所得金額は高額所得に引っ張られて高くなっているわけで、中央値では440万円になる。中央値とは、所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値だ。
世帯別では高齢者世帯の平均所得金額以下の割合が87.9%と非常に高く、中央値は271万円に過ぎない。これは、高齢者の貧困が如実に表れる結果となっている。一方、子どものいる世帯では平均所得金額以下の割合は29.8%で、中央値は722万円と高い=表4。
ところが、2021年7月8日現在の生活意識では、意外な結果が表れている。
全世帯の生活意識として、「大変苦しい」と「やや苦しい」を足した「苦しい」は53.1%。「普通」は41.8%。「大変ゆとりがある」と「ややゆとりがある」を足した「ゆとりがある」が5.0%となっている。
これに対して、もっとも所得金額の低い高齢者世帯では、「苦しい」は50.4%。「普通」は44.9%。「ゆとりがある」が4.7%と、全世帯よりも「苦しい」が低く、「普通」が上回っている。
一方、最も所得金額の高い子どものいる世帯では「苦しい」は59.2%。「普通」は36.6%。「ゆとりがある」は4.2%と、最も生活が厳しい状況となっている。
そこには、高齢者は低所得ながらも、つつましい生活を送ることで、ある程度の生活が営めている一方で、子育て家庭では所得が高くとも、支出が多いことで、苦しいという生活感を持っていることになる。
何を贅沢と感じるかと同じように、生活意識の捉え方はさまざまだが、国は少なくとも全ての世帯が「ゆとりがある」と思えるようになる政策を実施していく必要があろう。