小さな文字、何度もスクロールしないと見えない仕掛け
この事例の問題点は、販売サイトで「いつでも解約可能」「定期縛り無し」「1回だけのお試しOK」などの表示につられて、「購入回数の条件がない定期購入」を申し込んだところまではいいが、注文完了直後に不用意に「特別割引クーポン」の利用をクリックしてしまった点にある。
そうして、詐欺サイトの罠にかかってしまったわけだ。巧妙な手口の流れを見ていこう=図表参照。
(1)販売サイトで、利用者が「いつでも解約可能」と表示された「購入回数の条件がない定期購入」に申し込む。
(2)すると、「注文完了画面」に「ご注文ありがとうございました。10分間限定で特別割引クーポンが発行されました。クーポンを利用すると永続的に10%OFFが適用されます」などと利用を勧める画面が表示される。
(3)しかも、最初から「確実にお得な特別割引クーポンを利用する」というボタンが選択されている。そして、「残り9分32秒」などとカウントダウンが始まり、利用者を焦らせる。
(4)利用者は1回きりのお試しだが、商品代金がさらに安くなるならと思い、ついクーポンを利用するボタンをクリックする。
(5)じつは、サイトの中には非常に小さい字で「特別割引クーポンの利用でコースが切り替わります」「本コースは4回の受け取りを条件に特別割引が適用となります」などと表示されているのだ。しかし、何回もスクロールしないと表示場面が見えない仕掛けになっており、見つけにくい。
(6)「注文完了画面」が表示されるが、コースが変更されたことの記載はない。利用者は商品が届いた時に、初めて「複数回の購入が条件の定期購入」を契約してしまったことに気づく仕組みだ。
国民生活センターではこうアドバイスしている。
「注文完了直後に『特別割引クーポン』を利用することで、コースの内容が変更されるケースがあります。『特別割引クーポン』を利用する際の『最終確認画面』でも、定期購入の条件が変更になっていないか、2回目以降の分量や代金などの販売条件(特に購入回数の条件)を必ず確認しましょう」
(福田和郎)