「資格の勉強に集中できない!」あなたに...アウトプット優先こそ最強のコツ!

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   働きながら資格試験などの勉強をしている人は多いことだろう。でも、「勉強に集中できない!」と悩んでいませんか? そんな人に勧めたいのが、本書「すぐに結果を出せる すごい集中力」(秀和システム)である。

   脱サラして勉強を始めて2年後に司法試験に合格した弁護士が、自らの勉強法から編み出したノウハウを披露。仕事にも応用できるヒントに満ちた本だ。

「すぐに結果を出せる すごい集中力」(荘司雅彦著)秀和システム

   著者の荘司雅彦さんは1958年生まれ。81年東京大学法学部卒。旧日本長期信用銀行、野村證券投資信託を経て、88年司法試験合格。91年弁護士登録。著書に「最短で結果が出る超勉強法」「小説離婚裁判」などがある。

   荘司さんは「東大法学部を出ているから、司法試験にも余裕で合格したのでは」と思われるかもしれないが、在学中は憲法、民法、刑法もなんとか単位を取ったというレベル。試験勉強を始める前は「素人同然だった」と書いている。

どんどんアウトプットすることが集中力を養う

   当時、司法試験予備校が全盛時代。基礎は大事だが、時間がない。そこで、荘司さんが取った作戦が、「入門書レベルでアウトプット」するというものだった。

   まずは半年間で、憲法、民法、商法、刑法、刑事訴訟法の5科目をカバーする「論文講座」を受けることにした。出題範囲が事前に決められ、週に2回模擬試験がある。

   しかも、まわりの受験生が、学者の法律書を入門書として読み込んでいる中で、荘司さんは予備校が出した薄いテキストだけでインプットを乗り切り、約半年後の択一試験に合格したのだ。論文試験では総合評価B(1000番から1500番)で不合格だったが、翌年には余裕で合格したという。

   アウトプットするには、問題文に集中し、正解を考えなければならないので、インプットよりも集中力が必要だ。だから、「入門書レベルの知識でも、どんどんアウトプットをおこなっていくことが集中力を養い、成果を上げるのに圧倒的に近道なのです」と説いている。

   資格取得や語学関連の勉強をするのであれば、過去問集など問題集がたくさん出ている。自分に合ったレベルのものを選べばいいという。最初は3割くらい正解できれば上出来で、2回目、3回目になれば、驚くほど正答率が上がるそうだ。問題集に取り組んでいる間に、集中力は確実にアップしている。

薄い入門書でインプットする

   キャリアアップや資格取得試験の勉強で失敗する人のほとんどは、「投げ出してしまう」ことに原因があるという。

   それを防ぐには、社会人であれば、朝食前とか入浴前後、通勤電車の中など、仕事の関係で時間がズレても影響を受けない、日々のルーティンとリンクさせるのが、勉強を習慣化させるコツだ。

   ここでも、アウトプットが必要な教材を勧めている。

   学習効果はアウトプットの繰り返しのほうが、インプットよりも効果的だからだ。「まったく未知の領域だとアウトプットできない」という場合は、その科目や分野の中でできるだけ薄く、平易な入門書を買ってきて、まず、「まえがき」や目次をスキャンするように読む。

   スキャニングしてから読むと、理解度が圧倒的に異なるという。書籍の構成が頭に入るので、先がわかるようになり、全体像がビジュアルに頭に入ってくるからだ。

   スキャニングが終わったら、15分で無理なく読めるページを毎日読む。薄手の入門書なら、2~3週間で読破できる。そうやってインプットを終えて、必要な知識を頭に叩き込んだら、アウトプットのタスクを習慣化できるはずだ、と説明している。

習慣化に効果的な「マトリクス計画表」

   タスクを習慣化させる際に効果的なのが、マトリクス計画表をつくることだ。

   縦軸に日付、横軸に科目や課題などのタスクを書き、表をつくる。タスクを終えたら、その日のマス目をラインマーカーで塗りつぶす。そうすると、自分の努力の成果が「見える化」され、継続の大きなモチベーションになる。

   このとき注意したいのが、「人は自分のタスクを軽く見積もってしまう」ということだ。「最初に浮かんだ時間の2倍くらいは必要」。参考書や問題集は精選し、不測の事態や学習の遅れを調整するために、毎週半日は「予備日」として空けておくのがコツだ。

   最終章では「なぜ集中できないのか?」をQ&Aで解決している。資格試験などに挑戦している人から質問が寄せられ、荘司さんが答えている。

   社会保険労務士の試験に過去2回失敗した人は、「高すぎる目標に対して何をやればいいかわからず、不安になる」と相談。荘司さんは「毎日やるべきタスクを決めておき、それを粛々とこなせばいい」として「マトリクス計画表」をつくることを勧めている。

   しかも、1日のタスクは少なめにして、時間が余ったら、自由時間という「ご褒美」を自分に与えてください、とアドバイス。日々着実にこなしていくことが大切、と励ました。後日、無事に合格したという報告があったそうだ。

   宅地建物取引士試験に挑戦しようという人は、「意欲はあるが、勉強が続かない」と悩んでいた。勉強が苦痛になり、ついつい勉強のノウハウ本や合格体験記を読んでばかりいる。

   この悩みに、荘司さんは「ほとんどの人は勉強が嫌いである」としたうえで、持久力をつけることを提案。読みやすいと思ったテキストを買い、できれば自習室に行って、一定時間読み通すようアドバイスした。

   3回くらい回していれば、テキストに書いてあるたいていのことが、なんとなく理解できるようになるという。この人もその後、宅建試験に合格、今は行政書士の勉強に取り組んでいるそうだ。

   また、仕事量が多いと悩む社会人5年生には、「1日単位に落とし込んだタスクにすぐ着手する」ようにアドバイスしている。

   仕事や試験勉強、何から手をつけていいか悩んだら、小さなタスクに分解し、その日やるべきことをやるというのがポイントのようだ。何事にも応用できる仕事術だと思った。

(渡辺淳悦)

「すぐに結果を出せる すごい集中力」
荘司雅彦著
秀和システム
1650円(税込)

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