コンビニが集中出店するのは米飯のため
さて、サブタイトルの「コンビニはなぜ集中出店するのか」についてだが、コンビニは「集中出店」「密度の高い店舗網」を構築しながら地域展開していく。なぜなら、集中出店すると配送効率がいいからだ。
本書によると、セブン-イレブンの場合、商品の温度帯によって、商品を集約して配送している。書籍・雑誌を除き、4つの温度帯があり、売上に大きな割合を占める米飯類は、20度に管理され、1日3回納品される。
コンビニが集中出店するのは、米飯類を中心に、多頻度小口配送を全店舗で実現するためだ。東北地方への出店は、1980年代に福島県で始まり、同時に宮城県へも広げられた。さらに1990年代は山形県、2000年代には岩手県、2010年代前半は秋田県、2010年代後半は青森県へと、地域単位で展開された。
このほか、3大都市圏の郊外市場の形成、東京の都心回帰がもたらす流通・消費の変化、人口減少時代の流通など、日本の流通と消費の歴史と将来について、幅広いテーマを扱っている。
すでに仕事や旅行を通じて得た地理の知識が意外と流通・消費を理解するうえで役に立つことに気がつくだろう。
(渡辺淳悦)
「地理学で読み解く 流通と消費 コンビニはなぜ集中出店するのか」
土屋純著
ベレ出版
1980円(税込)