企業文化の変革進む
しかし、金融危機で状況は一変。イメルトは金融依存を下げ、デジタルへの転進を図ったが、うまくいかなかった。
後を継いだフラナリーは、2017年11月、「ここ数年、わが社はフリーキャッシュフローを上回る配当金を支払ってきました」と発表した。株主に配った現金が、余剰収益ではなく借金であり、「配当」と呼べるようなものではなかったことを明らかにした。
「見せかけの成功は追うな」とGE神話からの脱却を社員に訴えたが、取締役会で解任された。「正直すぎた経営者」と著者は評している。
後任はダナハーという医療・ライフサイエンス系のコングロマリットのCEOを14年間務めたラリー・カルプで、フラナリーが取締役に招聘した人物だが、寝首を掻かれた格好だ。
会社の文化をトップダウンからボトムアップに変えると公言。四半期ごとの数字に縛れる経営から脱却しようとしているという。
ビル・ゲイツも本書を絶賛している。多くの教訓が読み取られ、あらゆる企業、組織に属する人に参考になるだろう。
(渡辺淳悦)
「地理学で読み解く 流通と消費 コンビニはなぜ集中出店するのか」
土屋純著
ベレ出版
1980円(税込)