今後の為替レートの動きが「鍵を握る」
輸入物価指数の前年同月比は2021年3月から増加に転じたが、消費者物価指数が増加に転じたのは2021年8月からだ。この差は5か月。輸入物価指数の前年同月比が40%を超えたのは2021年11月だが、消費者物価が2%を超えたのは2022年4月。この差も5か月だ。
となれば、現在の輸入物価指数の上昇が消費者物価に反映されるのは5か月後ということになる。とはいえ、10月からの値上げで輸入物価と消費者物価のかなりのギャップは埋めたとも言える。
ただし、現在の物価上昇がドル高・円安の進行に起因するものであれば、今後の為替レートの動きが「鍵を握る」ことになる。9月22日、政府・日銀はドル売り・円買い介入を実施し、ドル高・円安の進行に歯止めをかけようとしたが、その後、為替レートはドル高・円安方向に動いている。
現在のドル高・円安進行の要因が、日米間の金利差にあるとすれば、米国のFRB(米連邦準備制度理事会)はインフレ率(消費者物価指数)が2%に落ち着くまで利上げを続けるという強い意志を示している。
したがって、日銀が現在の大規模金融緩和を継続し、米国が利上げを続ける以上、日米間の金利差は拡大することになり、一段のドル高・円安進行が起きる可能性がある。
国民を苦しめる物価上昇は、今後もまだ続くと見るのが妥当だろう。