マンション管理、2つの制度スタート
「週刊エコノミスト」(2022年10月4日号)の特集は、「マンション管理必勝法」だ。4月からスタートしたマンション管理に関する2つの制度とその影響をまとめている。
1つ目はマンション管理業協会がつくった「マンション管理適正評価制度」だ。個々の管理状況や管理組合の運営状況をチェックし、100点満点で6段階で評価する。9月13日時点で全国で35件の管理組合が評価を受け、うち18組合が最高等級(星5つ)を獲得した。
重要なポイントとなる修繕積立金は、年数がたつごとに金額が増える「段階増減方式」より「均等積み立て方式」の方が加点される。
「優れている(星4つ)」「良好(星3つ)」には、1970年代や80年代に建てられたマンションも少なくないという。
「管理の見える化」が進めば、中古市場で「築年数」「駅徒歩」といった数値化しやすいものだけで判断されやすかった中古マンションの評価が大きく変わる可能性があるらしい。同協会では、3年で1万2000組合の登録を目指している。
2つ目はマンションの管理適正化法に基づく「マンション管理計画認定制度」だ。こちらは都道府県や市、区などの自治体が適正を「認定」するものだ。認定を受けたマンションには「フラット35」の優遇などのメリットもある。ただし、自治体が計画を未作成だと始まらない。大半の自治体では取り組みが遅れている。
一方、どちらの制度も維持管理に関心が低い管理組合を底上げできるかは不透明だと見ており、熱心なマンションとそうでないマンションとの二極化が懸念されるようだ。
多くのタワマンが今年、大規模修繕工事を迎えるが、建築資材や人件費が高騰し、資金不足が心配されている。「安い積立金にだまされるな」と警告する記事は、タワマンの住民にとって恐怖だろう。
また、新制度どころではなく、管理組合の赤字という問題もあるようだ。電気料金の値上げなどで収支が赤字の場合、余剰金を食い潰せば、数年先には赤字決算に転落する恐れもあり、管理費の値上げも予想されると警告している。
(渡辺淳悦)