ローソンが手にする売却益...自社株買い・償却が使途となる可能性は?
今回の上場では成城石井の時価総額は2000億円に達するともいわれる。
仮に、成城石井株の保有比率を半分程度に引き下げるとすると、単純に考えてローソンは税金を差し引いて数百億円の資金を手にすることになり、これをいかに使うかが問題だ。
コンビニは人口減少に伴う国内市場の縮小傾向で店舗が飽和状態に近づくなか、食品などに手を広げるドラッグストアなどとの競争は熾烈になる一方だ。
コンビニの苦境は、平均日販(1店舗・1日当たりの売り上げ)を見れば一目瞭然だ。
22年2月期は、各社頭打ちから漸減傾向なのは同じだが、ローソンは49.8万円と、最大手のセブン-イレブンの64.6万円に15万円近く水をあけられたままだ。ローソンの場合、成城石井を買収した当時の15年2月期の53.3万円からでも、大きく減らしている。
今回手にする資金を新商品や新サービスの開発、ブランド戦略に有効に使うことになるが、成城石井のPB商品の活用も奏功しなかった中で、販売を伸ばしていくのは容易ではない。
ローソンは2026年2月期の目標としてROE(自己資本利益率)15%の目標を掲げており、22年2月期実績6.6%から急激に伸ばす必要がある。
利益自体を積み上げて目標をクリアするのには限界があるとの見方も強く、「ROEの分母である自己資本を小さくするために、自社株買い・償却が成城石井株売却で得る資金の有力な使途になるのは間違いない」(大手紙経済部デスク)との声が出ている。(ジャーナリスト 済田経夫)