「円安は構造的・複合的要因があり、介入では解決しない」
「円安は構造的・複合的問題に要因があるため、為替介入では解決しない」と突き放すのは、三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。
市川氏のリポート「政府・日銀は為替介入を実施~その効果について考える」(9月26日付)では、今後も為替介入の効果を上げることが難しい理由を2つあげている。
(1)ドル売り原資は限られており、為替介入でかえって投機的なドル買い・円売りを誘発する恐れがある。
(2)日本銀行が異次元の金融緩和を続けている中でのドル売り・円買い介入は、政策の一貫性に欠ける。
(1)については、今回の介入は「兆円規模」と報道されているので、介入原資に限りがある以上、同規模の介入を続けることは難しい。それに、他の市場参加者が介入に呼応してドル売り・円買いに動かなければ、効果の持続性が乏しくなる。
(2)については、米国との金利差拡大という根本的な要因以外に、次のような金融の実務面の事情や、日本経済の構造的な問題点があるという。
「ドル売り・円買い介入は、財務省が民間銀行から円を買うため、日銀当座預金の残高減少要因、金利上昇要因となります。日銀が異次元緩和のもとで残高減少分を補てんすれば、金利低下要因、円安要因となるため、介入効果は薄れます。円安は、『資源に大きく依存するなかでの資源高による貿易赤字の定着』、『賃金・物価が伸びないなかでの利上げの遅れ』など、構造的・複合的な問題に起因するもので、為替介入では解決できません」