前回(社内に眠れる「宝の山」顧客情報、最大活用を! 接点づくりに効果的...オンラインセミナー実施のポイントとは〈その5〉(大関暁夫))は、メール情報提供登録先のニーズをあぶりだす、インサイドセールス活動としてのWebセミナー開催の活用について説明しました。
今回は、Webセミナー(ウェビナー)と並ぶ有効なニーズのあぶり出し方法として、ホワイトペーパー配布やアンケート調査への協力依頼という活動について説明します。
メールでの情報提供前に用意すべきホワイトペーパーとは?
毎月のメール情報提供(以下、自社メルマガ)は言うまでもなく、自社メールアドレス登録先に対する、一方向のコミュニケーションです。
この一方向のコミュニケーションを双方向に変えるのが、前回取り上げたWebセミナー開催や、今回紹介していくホワイトペーパー配布やアンケート調査への協力依頼です。手段は異なりますが、いずれもこちらが情報を「チラ見せ」することで、ターゲット候補に「欲しい」と手を上げさせるという、やり方としては同じものであるといえます。
ホワイトペーパーとは、顧客の課題解決のための参考情報を提供し、併せてその解決に自社ソリューションが貢献することに導くレポートのことです。
言い換えれば、ホワイトペーパーは、顧客側の視点に立って、潜在的顧客を対象として顧客の課題解決のための参考情報を提供するもの、ということになるでしょう。ですから、ニーズあぶり出しメールを送信するには、まずホワイトペーパーの用意が必要となります。
では、ホワイトペーパーはどのようにして作ったらいいのでしょう。ひとつは、新聞記事や雑誌やネット記事などから得た外部情報を加工して、課題を巡る現状のレポートを作り、そこから自社ソリューション活躍の余地に導くという流れがあります。
この場合注意しなくてはいけないのは、新聞や雑誌の記事をそのまま転載するのは著作権に違反するということです。基本的には記事を参考にして、オリジナルのレポートを作成する必要があるのです。文章の一部をそのまま使う場合には、必ず出典を明記します。
意外と手間のかかるホワイトペーパー、ラクに作成する方法とは?
このように、オリジナルのホワイトペーパーを作成するのは、意外に手間のかかる作業でもあります。そこで、少しラクをして作成する方法を伝授します。
それは、自社の製品やサービスを採用して、効果が上がった取引先の事例を複数紹介して、一本のまとまったホワイトペーパーに仕上げる方法です。
この場合、かなりストレートな内容になるので、特にタイトルには製品・サービスPRを前面に出さずに、「マル秘情報!○○削減の効果的な取り組み」とか、「××増強の秘策教えます!」といった表現で、見せるやり方がベターでしょう。
取引先情報に乏しいとか、既に取引先情報をメルマガで提供してしまっているといった場合には、別の方法があります。
それは、新規でのアンケート調査のとりまとめによるホワイトペーパー作成です。
「○○に関する各社の取り組み状況調査」とか、「××に向けた各社の考え方調査」といったタイトルで、取引先に匿名のアンケート協力をお願いして、それをまとめるのです。
もちろん、実施の際の大義名分は「お客さまサービスの向上を目的として」ということであり、「集計結果およびレポートは還元させていただきます」ということを付け加えてお願いするのがいいでしょう。
ここで重要なのは、このアンケート調査への協力のお願いをすると同時に、メルマガ登録先の企業に対しても送付することです。
「『〇〇調査』というアンケート調査を企画しております。ご協力をいただけた会社様には、集計結果をまとめたレポートを無料で差し上げますので、ぜひご協力のほどよろしくお願いいたします」
こういったメッセージとするのです。
アンケートの調査テーマに関心がある先は、他社状況を知り得るチャンスなので、応募してくれる確率が高くなります。応募があった先は、テーマに関するニーズがあるということが分かる、という仕掛けです。
協力を引き出すアンケート調査にするためのポイントは、調査テーマの取り方に尽きます。潜在的ニーズがある企業が関心を持ってくれそうで、かつその対策として自社の製品・サービスの活躍が期待できる、そんなテーマを探すことが重要です。
完成したホワイトペーパー&レポート、提供時のテクニックとは?
一方で、ホワイトペーパーやアンケート調査結果レポートの送付方法ですが、HPなどで不特定多数向けにこの手の誘導策を実施する際は、自社のHP上に必要事項を記入してもらうと、ダウンロードできるというやり方が一般的です。
しかし、メルマガ送付先が対象の場合、既名刺交換先であったり、過去に取引実績がある先であったりする場合が多いでしょう。すると、メールアドレスはもとより、先方の会社名、担当者名、電話番号も分かっている場合が多いので、ホームページ経由でのダウンロードはなく、直接メールでレポート類を送付する方が、当該企業との距離感がより近くなる感覚が生まれていいでしょう。
このやりとりをきっかけとして、次のステップとして、電話での具体的なニーズヒアリングに移行するのが理想です。
この流れでは、ホワイトペーパーやアンケート調査結果レポートの送付までがインサイドセールス担当の業務となり、レポート請求やアンケート協力へのお礼を口実としたヒアリング・アポイントからが、フィールドセールス担当の業務となります(レポートのメール送付から、フィールドセールス担当にバトンタッチをするのでも可)。
このようにして、インサイドセールスとフォールドセールスの有効な分業体制が確立されるわけなのです。
(大関暁夫)
●「社内に眠れる『宝の山』顧客情報」シリーズ
▼社内に眠れる「宝の山」顧客情報、すぐ発掘を! 「オンライン営業」時代のいまこそ最大活用できる!〈その1〉(大関暁夫)
▼社内に眠れる「宝の山」顧客情報、すぐ活用を! 関係づくりの第一歩に...担当者メールアドレス知る手堅い方法〈その2〉(大関暁夫)
▼社内に眠れる「宝の山」顧客情報、すぐ分類を! メールで顧客との「接点拡大」どうしたら狙えるか?セオリーは?〈その3〉(大関暁夫)
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