ある企業での業務改善エピソード
私が営む会社で実施した、ある大手企業の支店長対象の「『上司力(R)』鍛錬ゼミ」でのエピソードをご紹介しましょう。
ある店舗では、業務用車両の清掃が行き届かないことが長い間、問題になっていました。お客さまに大切な物品を配送するのに、車両が汚れたままでいいはずはありません。
そこで、管理職が手分けして部下が使用する車両の掃除をしたこともあったといいます。しかし、配送を担う社員は、車両の汚れにほとんど関心を持っていませんでした。管理職の方たちが掃除をした時に、参加したのはほんの数名。仕方なく、「毎週○曜日は車両清掃日」とルールを決めて指示を出したものの、ルールを無視して掃除をしない社員も少なくない状況でした。
ゼミでの実践支援の一環で、その支店長に、配送を担う現場の社員とじっくり仕事の目的について話し合うよう促しました。そこでその店舗では、「汚い車両で物品を届けられるお客さまの気持ち」や「車両の清掃・メンテナンスをしっかりすることが交通事故防止につながること」などについて時間をかけて話し合いました。
そうすることで、車両の掃除が大切な理由を、職場の目的に立ち返って確認していったのです。