生理痛・PMS・婦人病、デリケートゾーンの悩み、妊娠出産......。誰も教えてくれない女性ホルモンと身体のことがマンガで丸わかり。今回は、医師と専門家が完全監修した一冊を紹介します。
「なんとなくずっと不調なんですが膣ケアで健康になれるって本当ですか?」(若林杏樹 著、山口明美 著)サンクチュアリ出版
欧米ではかかりつけの婦人科で相談
欧米では、子供のころ、母親に学んだり、かかりつけの婦人科で体について相談することが一般的だそうです。ところが、もしかしたら日本においては妊娠や出産の予定がないと、自分の体について学ぶ機会はあまりないのではないでしょうか。
日本のでは美容に多額の費用を投じます。しかし、本書が示す「膣トレ」や「膣ケア」には無関心な人がほとんどです。欧米では子供のころからこれらを学び、フランスでは産後の膣ケアが保険適用とされているとのこと。また、ドラッグストアにも、ケア用品が所せましと並びます。
「女性にしかないのが膣です。膣は生理で経血が出る場所で子供が出るときの産道です。膣は加齢や出産によってゆるみが生じると言われていますが、最近では、若い人や出産していない人にも増えています。洋式の生活や運動不足が原因と言われています」(山口さん)
「9歳~10代後半は一気に増えて女性らしい体になります。20代~30代前半は量が安定しピークに、30代後半からゆるやかに減少します。40代後半~50代前半になると、急激に減少し閉経を迎えて更年期障害が出始めます。50代後半になるとほぼなくなり子供の頃と同じくらいの量になり、生活習慣病にもかかりやすくなります」(同)
「現代の女性は、ストレスで女性ホルモンを乱している」
山口さんは、こんな指摘も。思い当たる人はいませんか?
「現代の女性は、ストレスで女性ホルモンを乱しています。ストレスの他にも、不規則な生活、睡眠不足、ブルーライト、栄養不足、過剰なダイエットなども影響を及ぼします」(同)
日本の女性の平均寿命は87歳。しかし忘れてはいけないのが「健康寿命」です。日常に制限がなく過ごせる期間のことですが、こちらは74歳。ですから、87歳までの13年間は、病院や介護のお世話になる可能性があるとも言えます。じつは、山口さんの祖母は、90歳から膣トレ(尿モレ体操)をはじめ、105歳まで生きました。オムツも使わず、自分でトイレに行き、最後まで元気だったそうです。
いま、国の女性活躍を促進させる施策も浸透しつつあり、出産後に仕事を続ける女性も増加しています。また、経済産業省の「フェムテックに関する経済産業省の取組」では、月経随伴症状による労働損失は4911億円と試算されています。今後、この領域ではさまざまな製品・サービスの上市による市場拡大が期待されています。
そうした背景があるなか、理解を深めることが大切で、多くの女性に読んでほしい一冊です。なお、本書は医師と専門家が完全監修を行っている専門書。監修者には、安田進太郎氏(医学博士)、和田浩幸氏(一般社団法人日本美容整骨協会理事)、高須賀千絵氏(ラヴィコーポレーション代表)、足立真由美氏(医療法人涼葵会Wクリニック総院長)、宮崎綾子氏(日本産科婦人科学会、産婦人科専門医)らが名を連ねています。
(尾藤克之)