求職活動も商品販売と原理は同じ
求職活動とは、自分という商品を買ってくれる受け入れ企業に、自分というセールスマンが、いかに早く的確にアプローチしていくかということだから、商品販売の基本原理と同じだ。
そのため、戦略も戦術も必要。単に、履歴書をつくって送るというような簡単なやり方ではうまくいかない。望ましい流れは、次の5つのステップになるという。
1 自分という商品の特質分析 セールスポイントを証明するバウチャーを集め、その価値を文章化する。
2 商品を売り込むツールの作成 職務経歴書の記述は、従来の時系列的な過去の経歴と実績を中心としたまとめ方ではなく、未来志向でまとめた内容にする。
3 マーケティング戦略の策定 自己認知分析にもとづいて、やりがいのある仕事を認識する。
4 セールストークの訓練
5 内定先決定とクロージング
職務経歴書の作成について、さらに詳しく解説している。
時系列型の「編年体式」、逆時系列型の「逆編年体式」、職能別型の「キャリア式」の3つのタイプがある。なかでも本書は、キャリア式でまとめることを勧めている。
従来の略歴、専門分野の記述に加えて、今後勤務する会社で何ができ、またするつもりか(貢献領域)を明示することが重要だという。
A4版2枚以内にまとめた例では、氏名・住所・電話番号、eメールアドレスの次は、目標(確約)、目的と続いている。
「自己の知識、経験、技術、技能、ノウハウがいかに求職先での価値の提供につながるか、また貢献できるかということを簡潔に訴求できる文章が必要」だからだ。この後、略歴、職歴、職務内容・達成実績、取得免許・資格、自己PRを書き、生年月日と最終学歴は最後に「その他」の項目に記載している。
企業の採用条件が年齢と学歴がキーポイントであった時代から、個々人のオンリーワンが審査基準の時代へと変わったからだ、と説明している。
◆面接でのアピールの仕方
面接対応法では、新卒と違い、中高年齢者は「即戦力」としてすぐ役立つかどうかをまず、見極められる。自分に任せてもらえるなら、必ずその会社にとって結果が出せる、業績の向上に結びつけられる理由とその自信をアピールすることが大切だ。
次に、その会社になじむことができる「組織同化力」、第三に「健康と前向きのやる気」を示すことだ。
著者とNPO法人キャリアスイッチは、キャリアチェンジの支援を続けてきただけに、内容は具体的で参考になる。いくつになっても転職はできる、と自信を与えてくれるだろう。
(渡辺淳悦)
「40歳からのキャリアチェンジ[第2版]」
楠山精彦・和田まり子著、NPO法人キャリアスイッチ編
経団連出版
1760円(税込)