【1万円からはじめる暗号資産】ザ・マージでイーサリアムはどうなった? 学生トレーダーは動かず【暗号資産バトル 第16節】

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   イーサリアムの大型アップデート、ザ・マージが終了した。明治大学の城正人さんは「良くも悪くも目立ったトラブルなく順調に移行は進んだ。当初の盛り上がり方に比べると話題性にかけているようにも感じます」と、ちょっと拍子抜けのようす。

   こうした状況に、北海道大学の花野直樹さんは、「長期的には買い場かもしれませんが、11月末までの暗号資産バトルに勝つという意味では、今後も慎重に短期的なトレードで勝負したいと考えています」と話す。東京大学の迫嵩明さんは、今週もお休み。

  • 続く、ガマンのとき……
    続く、ガマンのとき……
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長期的には買い場だけど......(北海道大学 花野直樹さん)

   今週(9月12日週)もニュースを振り返っていきたいと思います。何よりも今週のマーケットが荒れた原因は米CPI(消費者物価指数)でしょう。予想より上振れ、インフレ継続からの次回FOMC(連邦公開市場委員会)での大幅利上げを織り込んで株安、ドル高が加速しました。特に米国株指数は今年最大の下落幅を記録し、仮想通貨もそれに引っ張られて大きく下落しました。

   先週の記事で自分は短期的に上昇トレンドに転換するかもしれないといいましたが、そのトレンド転換の指標にしていたVIX(恐怖指数)も高止まり、指標的に見ても下落トレンドに逆戻りしてしまいました。押し目買いをすると、先週の記事では書きましたが、それも次の反発まで見送りたいと思います。

   また、仮想通貨のニュースではイーサリアムの大型アップデート、ザ・マージが終了しました。ザ・マージとは何か――。それは今までマイニングと呼ばれる仮想通貨の発行、取引の承認をする作業に莫大な電力を必要としていましたが、それが必要なくなるというものです。アップデート後の値動きですが、イーサリアムだけ大きく価格を下げています。

   この下落で感じた、そもそもの仮想通貨の価値について考えてみたいと思います。

   仮想通貨の価値として送金、決済手段、プラットフォームとしての価値などが大きなものだと思います。では送金、決済手段としてどうかといわれると法律も整備されていないため、そのような利用者は一部しかおらず1日に10%以上も価格が変動するものでは現時点でさらに普及するのは難しいと思います。

   次にプラットフォームとしても、どういったお金の流れでプロジェクトではなく仮想通貨自体に値段が付くのかが正直よくわかりません。僕も勉強不足ではあるのですが、なぜそんな仮想通貨の値段が何倍、何十倍にもなっていることは疑問に思います。

   確かにブロックチェーンなどの技術は将来生活を豊かにするのに必要になると思うのですが、現時点では仮想通貨は投機によるキャピタルゲインを得る目的にしかなっておらず、世界的に金融引き締めを行っている今、お金が余っていた2020年、2021年のように上がることはないというのが感想です。

   よって、長期的には買い場かもしれませんが、11月末までの暗号資産バトルに勝つという意味では、今後も慎重に短期的なトレードで勝負したいと考えています。

前週からの損益   プラス・マイナスゼロ
9月16日現在           9754円

◆ 池田昇太のワンポイントアドバイス
イーサリアムのザ・マージが無事に完了し、これまでの承認コストの99.5%が削減できるようになりましたが、市場全体に大きな影響は見られませんでしたね。ザ・マージへの期待という支えがなくなったためか、ビットコインも値下がりし始めている様子が見られています。
とはいえ、ビットコインも底打ち感が見られているため、サポートラインとして意識されていそうな1万8000ドル付近に下がった辺りで買い増し、その後は上昇したタイミングで売り抜ける戦略が有効かと思われます。
仮想通貨の価値についてですが、おっしゃるとおり値幅は大きいため、決済手段などへの活用は現実的ではないでしょう。また、プロジェクトの中身をホワイトペーパーで確認・評価して投資している人もいる一方で、投機的動機は未だに多いと考えられます。そのため、今後も短期的な値動きに注意しながらトレードするのがオススメです。
花野 直樹(はなの・なおき)
花野 直樹(はなの・なおき)
北海道大学工学部4年
北大金融研究会の所属。ふだんはテクニカル分析を使った株式の短期トレードをしています。やるからには1位をとれるよう、頑張ります!

ザ・マージ完了も材料出尽くし......(明治大学 城正人さん)

◆ 市場の動向

   ザ・マージ完了も、材料出尽くし感が否めずといった模様。良くも悪くも目立ったトラブルなく順調に移行は進み、DeFi(分散型金融)崩壊の危機、イーサリアム関連の製品に壊滅的な影響が出ることもありませんでした。当初の盛り上がり方に比べると話題性にかけているようにも感じますが、技術的には上等な結果といえます。

   しかし、一方で投資の観点からはどうでしょうか。コンセンサスアルゴリズムがPoS(プルーフ・オブ・ステーク=コインを持っている割合でブロックの承認の割合を決める仕組み)へと移行した『本家』ETH(イーサリアム)とPoW(プルーフ・オブ・ワーク=暗号資産取引を正しくブロックチェーンにつなぐための仕組み)を継続するETHは目論見どおり分離。本家ではなくなったETH(PoW継続)は分裂前1枚当たり40ドルを超えていましたが、分裂後は投資家の売りが進み8ドル付近まで下落。投資の面からいうと正直散々な結果に終わりました。

◆ 各国の動向

   さて、先週は各国の規制状況、税制について取り上げてきました。しかし、実情はどうなのでしょうか。エルサルバドルでは昨年ビットコインが法定通貨として認定されましたし、日本でも大手家電量販店の決済にビットコインが利用できるなど地道に利用できる場が増えています。

   イーサリアムも今週の「ザ・マージ」のアップグレードを経て、今後さらに手数料が安く、処理速度が高速化していくと考えられます。投機から実需へ、大きく変革を遂げるかもしれない仮想通貨市場。夏休み期間を利用して海外へと渡航した私や友人の経験談を総合し、世界各国の現状を取り上げていきます。

◆ キャッシュレス化について

   各国の状況を付き合わせてみても日本と比較するとどの国もキャッシュレス化、特にクレジットカードの普及が進んでいます。電車やバス、公共交通機関ではすべて「visaタッチ」に対応していてsuicaのようにカード、スマホをかざすだけ。唯一クレジットカードが利用できなかったのは街中の怪しげな露天だけという結果に。結局、私は最後まで両替所にいくことなくアメリカ滞在を終えることができた点がかなり衝撃的でした。

   しかし、QRコード決済については圧倒的に日本の普及率が高く、長い時間をかけクレジットカードが利用されてきたという地域性を実感しました。

◆ まとめ

   今週は世界各国の仮想通貨普及状況「前編」として仮想通貨決済普及の前提となる「キャッシュレス化の進捗」についてフォーカスしてきました。経済産業省の調査によると、日本でもキャッシュレス比率は35%程度まで年々急拡大しています。各国の情勢と比較すると随分低いですが、やはりキレイなお札が流通し、治安が良いというのが要因に挙げられるでしょう。

   さて、来週はどの程度ビットコイン決済は普及していたのか、また現地の企業がweb3やFintechなどについてどのように考えていたのかについてフォーカスしていきます! お楽しみに。

◆ 今週の取引

   なし

保有資産
ビットコイン 0.0001BTC (1枚あたり280万6141円のため、評価額は2806円)
現金  7010円
合計  9816円

前週からの損益    マイナス259円
9月16 日現在          9816円

◆ 池田昇太のワンポイントアドバイス
ザ・マージは特に問題なく終了し、プロジェクトとしては成功ですが、イーサリアム自体の値上がりは見られませんでしたね。ハードフォークしたコインも一度は50ドル辺りまで上がったものの、10ドル以下まで急落しています。
しかし、ご存知のとおり、今後のイーサリアムはトークンの供給量は減り、高速化もしていく予定です。プロジェクトそのものが評価され、価値を認められていく可能性はあるでしょう。
また、キャッシュレス化について日本も徐々に進んでいるんですね。偽札の流通量の多い国などではキャッシュレス化は必要と思いますが、日本ではキャッシュレス化に踏み込む積極的な動機がないのではないかと感じていたため、35%まで進んでいるというお話には驚きました。
城 正人(じょう・まさと)
城 正人(じょう・まさと)
明治大学経営学部
2021年に引き続き、出場します! 投資対象として仮想通貨に興味を持つも、その技術の持つポテンシャルに惹かれDapp開発に着手。投資家としてだけでなく、開発者としての視点からの投資戦略も立てていきます!
Twitter: https://twitter.com/dennoah_jo

◆ 取引はお休みしました(東京大学 迫嵩明さん)

前週からの損益    プラス・マイナスゼロ
9月16日現在               1万円

迫 嵩明(さこ・たかあき)
迫 嵩明(さこ・たかあき)
東京大学文科二類2年
学生投資連合USIC代表
高校3年生の時に株式投資のおもしろさに目覚める。日本株、米国株、仮想通貨投資を行う。長期的に伸びる市場でビジネスを展開している企業に長期投資することをモットーとしており、テンバガーを虎視眈々と狙っている。 金融を学ぶ「おもしろさ」、投資を始める「意義」を多くの人に知ってほしいと切に願う。
学生投資連合USIC:https://www.usic2008.org/

◆ ◆ アドバイザーのプロフィール

池田昇太(いけだ・しょうた)
池田昇太(いけだ・しょうた)
池田昇太(いけだ・しょうた)
フリーランスのWebディレクター。金融系メディアを対象に執筆やディレクター業務に従事。投資歴7年。FXと仮想通貨をメインにトレードしています。ファンダメンタル分析よりかはテクニカル分析を好む。最近はNFT(非代替性トークン)の詐欺事例、法的問題について関心あり。
大学対抗戦「暗号資産バトル」競技ルール
・元本は1万円。
・通貨の選定は自由。ただし、国内の事業者で買える暗号資産に限定。
・レバレッジはかけられません。
・20%を超えて下げた場合は、強制的に取引を停止(ロスカット)とする。
・元本割れは1回まで。2回、資産を失った場合は、その時点でリタイアとする。
・運用期間は6か月。最終週時点での資産増減額で順位を決める。

学生投資連合USIC 「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
http://usic2008.com/

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