イーサリアムの大型アップデート、ザ・マージが終了した。明治大学の城正人さんは「良くも悪くも目立ったトラブルなく順調に移行は進んだ。当初の盛り上がり方に比べると話題性にかけているようにも感じます」と、ちょっと拍子抜けのようす。
こうした状況に、北海道大学の花野直樹さんは、「長期的には買い場かもしれませんが、11月末までの暗号資産バトルに勝つという意味では、今後も慎重に短期的なトレードで勝負したいと考えています」と話す。東京大学の迫嵩明さんは、今週もお休み。
長期的には買い場だけど......(北海道大学 花野直樹さん)
今週(9月12日週)もニュースを振り返っていきたいと思います。何よりも今週のマーケットが荒れた原因は米CPI(消費者物価指数)でしょう。予想より上振れ、インフレ継続からの次回FOMC(連邦公開市場委員会)での大幅利上げを織り込んで株安、ドル高が加速しました。特に米国株指数は今年最大の下落幅を記録し、仮想通貨もそれに引っ張られて大きく下落しました。
先週の記事で自分は短期的に上昇トレンドに転換するかもしれないといいましたが、そのトレンド転換の指標にしていたVIX(恐怖指数)も高止まり、指標的に見ても下落トレンドに逆戻りしてしまいました。押し目買いをすると、先週の記事では書きましたが、それも次の反発まで見送りたいと思います。
また、仮想通貨のニュースではイーサリアムの大型アップデート、ザ・マージが終了しました。ザ・マージとは何か――。それは今までマイニングと呼ばれる仮想通貨の発行、取引の承認をする作業に莫大な電力を必要としていましたが、それが必要なくなるというものです。アップデート後の値動きですが、イーサリアムだけ大きく価格を下げています。
この下落で感じた、そもそもの仮想通貨の価値について考えてみたいと思います。
仮想通貨の価値として送金、決済手段、プラットフォームとしての価値などが大きなものだと思います。では送金、決済手段としてどうかといわれると法律も整備されていないため、そのような利用者は一部しかおらず1日に10%以上も価格が変動するものでは現時点でさらに普及するのは難しいと思います。
次にプラットフォームとしても、どういったお金の流れでプロジェクトではなく仮想通貨自体に値段が付くのかが正直よくわかりません。僕も勉強不足ではあるのですが、なぜそんな仮想通貨の値段が何倍、何十倍にもなっていることは疑問に思います。
確かにブロックチェーンなどの技術は将来生活を豊かにするのに必要になると思うのですが、現時点では仮想通貨は投機によるキャピタルゲインを得る目的にしかなっておらず、世界的に金融引き締めを行っている今、お金が余っていた2020年、2021年のように上がることはないというのが感想です。
よって、長期的には買い場かもしれませんが、11月末までの暗号資産バトルに勝つという意味では、今後も慎重に短期的なトレードで勝負したいと考えています。
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
9月16日現在 9754円
◆ 池田昇太のワンポイントアドバイス
イーサリアムのザ・マージが無事に完了し、これまでの承認コストの99.5%が削減できるようになりましたが、市場全体に大きな影響は見られませんでしたね。ザ・マージへの期待という支えがなくなったためか、ビットコインも値下がりし始めている様子が見られています。
とはいえ、ビットコインも底打ち感が見られているため、サポートラインとして意識されていそうな1万8000ドル付近に下がった辺りで買い増し、その後は上昇したタイミングで売り抜ける戦略が有効かと思われます。
仮想通貨の価値についてですが、おっしゃるとおり値幅は大きいため、決済手段などへの活用は現実的ではないでしょう。また、プロジェクトの中身をホワイトペーパーで確認・評価して投資している人もいる一方で、投機的動機は未だに多いと考えられます。そのため、今後も短期的な値動きに注意しながらトレードするのがオススメです。
北大金融研究会の所属。ふだんはテクニカル分析を使った株式の短期トレードをしています。やるからには1位をとれるよう、頑張ります!