「パウエルショック」で始まった日米金融市場大荒れ! 政府・日銀の為替介入に勝算は? エコノミストはどう見る?「焼け石に水」「逆効果」「タイミング次第で」

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為替介入は「焼け石に水」「タイミング次第で勝算も」

為替介入に踏み切った日本銀行
為替介入に踏み切った日本銀行

   同欄では、ソニーフィナンシャルグループのシニアエコノミストの渡辺浩志氏は、日銀が為替介入に踏み切る前の投稿だが、こう指摘していた。

「為替介入は短期的な需給にショックを与えるのみであり、ファンダメンタルズを変えるものではありません。一時的に為替レートを動かせたとしても、効果は持続しないでしょう。そもそも円買い介入は200兆円弱の外貨準備を取り崩すため一回当たりが小粒化しやすく、一日50兆円規模で取引される為替市場の需給を操作することは困難です」

   そのうえで、

「通貨の価値を決めるのは金利であり、為替水準は日米金利差に左右されます。足元のドル高はインフレ退治の金融引き締めを背景に進む米国の金利上昇が主因であり、これに介入で対抗することは困難。できるとすれば、日米金利差より僅かに上振れた円安の修正がせいぜいでしょう」

と、「焼け石に水」だとした。

   同欄では、第一生命経済研究所主任エコノミストの藤代宏一氏も、為替介入前の投稿だが、

「為替介入の規模によっては米国債を売却する必要があります。日本は世界最大の米国債保有国ですから、日本の米国債売りが意識されると、債券市場の需給が崩れるとの見方から米金利が上昇し、日米金利差が拡大、円安に拍車をかけてしまうことも可能性としては考えられます。為替を人為的にコントロールするのは容易ではありません」

と、「逆効果」の可能性を指摘していた。

一時1ドル=146円近くに迫ったドル円相場(写真はイメージ)
一時1ドル=146円近くに迫ったドル円相場(写真はイメージ)

   一方、日本経済新聞オンライン(9月22日)「政府・日銀、24年ぶり円買い介入 急激な円安阻止へ」という記事に付くThink欄の「ひと口解説コーナー」では、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、こう評価した。

「日本の通貨当局は言行一致を貫いた形である。日銀が異次元緩和続行を決めた前後の急激な相場変動に対して、G7・G20合意で認められている『スムージングオペ』、相場の過度の変動を落ち着かせる目的だという体裁で、今回為替介入に踏み切ったのだろう」

   こう推測したうえで、

「介入は、タイミングと効率が重要。勝ちを収めたいのなら、円を売り持ちにしている海外などのプレーヤーを、損失確定の円買い戻しに追い込む必要がある。チャート上の節目は近いところでは142.40円、141.50円など。これらの水準に到達することで、介入の効果はより大きくなる」

とした。

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