みなさん、こんにちは。馬医金満です。
東京都が検討を進めている住宅への太陽光発電設備の設置義務化をめぐり、都は3年後の2025年からの制度の施行を目指す方針を固めました。住宅への太陽光発電設備の設置は、どのくらい役に立つのでしょうか?
きっかけは小池都知事が打ち出した「カーボンハーフ」
家庭からの温室効果ガスの排出量の削減に向け、東京都は新築される一般住宅に太陽光発電設備の設置を義務づける条例の改正に向けて検討を進めていました。一般住宅に太陽光発電設備の設置が義務化されれば、全国で初めてになります。
具体的なスケジュールとしては、条例の改正案を今年12月の都議会に提出して、議決されれば2025年4月の施行を目指す方針です。
東京都がこの制度を検討しはじめたのは、小池百合子都知事が打ち出した肝いり政策「カーボンハーフ」の達成に向けた取り組みがきっかけです。「カーボンハーフ」とは、その名のとおり、温室効果ガスの排出量を2030年までに半減(2000年度比)させること。東京都環境局によると、20 年度の東京都の温室効果ガス排出量は5990万トンで、00年度比で3.7%の減少にとどまっています(2022年7月発表)。
一方、都内の住宅への太陽光発電設備の設置割合は2019年度時点で4%あまり。東京都は「屋根の活用」を大都市の強みとして、設置を進めたい考えです。
設置義務化で懸念される住宅価格の高騰!?
しかし、そもそも太陽光発電設備の設置義務化は、住宅を購入する消費者に義務づけられるものではなく、住宅を供給するメーカーなどの事業者を対象としているといいます。そのためか、早くも懸念されているのが住宅価格です。
東京都内の住宅建築は地方にはない難しさがあるようで、土地区画や日照などで家のデザインやつくりなどが制限を受けるおそれがあると、住宅メーカーの担当者の証言を、メディアが報じていました。
現在すでに建築資材の高騰によって、住宅価格がそれまでの1~2割ほど高くなっているそうです。これに、1棟あたり少なくとも100万円ほどがかかるとされる太陽光発電設備の設置費用が加わるので、住宅価格はますます上がりますし、さらに運用・維持費がかかってくることになるわけです。
そうなると、せっかく建てた太陽光発電の住宅ですが、日当たりが悪くて思ったよりも電気がつくれないといった事態になるおそれは残ります。昨年起こった水害なども発電力の低下を招く原因として、大きな論点になってくるとの見方もあるようです。実際にどれくらいの電力が獲得できるのかという点では、疑問の声が少なくありません。
ちなみに東京都の試算によると、設置コストは太陽光発電でまかなえる電気代と売電収入により、10年で回収できるとしています。
また、東京都は維持・管理費用についても支援する方針を示していて、条例の改正案を提出する12月までに、方針を一部まとめたい考えです。全国に先駆けた制度として、実効性の高いものにしていくためにも、東京都は都民や事業者に対してしっかりと情報提供を行い、納得できる形で進めていく必要があります。今後も、しっかりウォッチしていこうと思います。
では、また!(馬医金満)