少なくとも年内は3%増の物価上昇が続く?
一方、ヤフーニュースのコメント欄では、三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主席研究員の小林真一郎は物価高が長引くと予想した。
「物価上昇圧力に衰えはみえません。食料やエネルギーなど身近なものを中心に上昇が続いており、食料品で同4.7%上昇、エネルギーで同16.9%も上昇しています。ガソリン価格はピークアウトしていますが、電気代、ガス代の上昇幅が拡大したことでエネルギーの上昇幅は先月より拡大しています」
こう指摘したうえで、
「原油価格が下落に転じるなど川上の物価上昇圧力は徐々に弱まっていますが、川下に波及するには時間がかかるうえ、足元では円安や品不足の影響もあってエアコンなど耐久財が同5.0%も上昇するなど様々な分野に価格上昇の動きが広がっています。少なくとも年内は総合で3%程度の伸びが続く可能性が高く、個人消費の回復を遅らせることが懸念されます」
との見方を示した。
これに対して同欄では、第一生命経済研究所主任エコノミストの藤代宏一氏がやや明るい見方を示した。
「現在の消費者物価は輸入物価上昇を主因としていますので、好ましいとは言えません。他方、賃金上昇を起点とするインフレが年2%程度で進行することは理想的です。では、それをどのようにして見極めるか?それは財ではなくサービスの物価をみることが重要です」
こう説明したうえでこんなデータを示した。
「その点、最近は意外にもサービス物価が少しずつですが上昇しています。代表例としては外食(8月は前年比プラス3.8%)、家事関連サービス(プラス2.6%)、教育関連サービス(プラス0.7%)、理美容サービス(プラス0.8%)などがあり、これらの背景には労働コスト増加があると考えられます。
人件費増加は(ミクロの)企業単位でみると好ましくありませんが、マクロでみるとむしろ好ましい事象です。現在の輸入物価上昇が一服した後に、どのようなインフレが観察されるか、細かく見ていく必要があります。必ずしも『インフレ=悪』とは限りません」