JR九州の株価が上昇基調にあり、2022年9月15日の東京株式市場で一時、前日終値比115円(3.8%)高の3180円をつけ、2020年5月以来、2年4か月ぶりの高値となった。
9月23日には西九州新幹線(武雄温泉―長崎)の開業を控えており、コロナ後の観光需要の回復に期待する投資家が買いを入れている。
博多―長崎間、現行の在来線特急より約30分短縮
9月に入って新たな買い材料が出てきているわけではないが、新型コロナウイルス第7波の新規感染者数が全国的に減少するなかで、西九州新幹線開業が起爆剤となり、JR九州の収益が伸びるとの見方が広がっている。株価は、9月7日から16日まで8営業日連続で、終値が上昇するにぎわいぶりだ。
西九州新幹線の概要を確認しておこう。
全長69.6キロメートルで武雄温泉(佐賀県武雄市)から順に、嬉野温泉(佐賀県嬉野市)、新大村(長崎県大村市)、諫早(長崎県諫早市)、長崎(長崎市)と、計5駅の非常にコンパクトな新幹線だ。
長崎県としては本来、博多から長崎までをフルに結びたかったのだが、途中の佐賀県が費用対効果の観点から難色を示し、いわば妥協策としてこうした部分的な開業になった。
その結果、西九州新幹線開業によって博多―長崎間は、博多から在来線特急「リレーかもめ」で武雄温泉へ行き、武雄温泉駅の同じホームで待機中の西九州新幹線に乗り換えることで最速1時間20分となり、現行の在来線特急より約30分短縮される。