円安が進んだら、住宅価格は上がるのか? 値上がりに対抗する「戦略的手段」とは...専門家が解説【1】(中山登志朗)

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コストアップによる、新築住宅価格上昇&利上げあるなら、住宅ローン金利上昇

   円安が進行すればするほど、当然、多くを輸入に頼る原油や天然ガスなどのエネルギー価格、鉄やアルミニウム、ニッケル、銅など、さまざまな資材価格、小麦粉や家畜飼料、牛肉や豚肉などの食料品関連価格が全て上昇しますから、日本でも消費者物価指数が上昇します。

   また、戸建て住宅やマンションを建設するための木材、セメント、鉄骨や鉄筋などの価格も上昇することは必至なので、コストアップによる新築住宅価格の上昇は避けられないと考えておくべきでしょう。

   一方では、皮肉なことに、仮に、日銀が金融政策を転換して金利の引き上げを決定するとします。すると、円安基調が一段落して、住宅価格を抑制することには効果が期待できます。しかしその一方で、住宅ローン金利の上昇を招くことになります。

   とくに、長期金利と連動している「住宅ローン固定金利」は、すぐに金利が上昇するでしょう。したがって、物件価格が上昇するほうがよいのか、それとも、住宅ローン金利が上昇するほうがよいのか......いずれにしても、住宅購入を予定している人にとっては、望ましくないシナリオが展開されることになります。

   先のコラム(気になる「長期金利」の上昇傾向...それにともない、「住宅ローン金利」今後どうなる? 専門家が解説【1】(中山登志朗))で言及したように、もし近い将来、住宅を購入して住宅ローンを組む予定があるのであれば、変動金利で借り入れるほうがより望ましい状況です。

   <円安が進んだら、住宅価格は上がるのか? 値上がりに対抗する「戦略的手段」とは...専門家が解説【2】(中山登志朗)>に続きます。

(中山登志朗)

中山 登志朗(なかやま・としあき)
中山 登志朗(なかやま・としあき)
LIFULL HOME’S総研 副所長・チーフアナリスト
出版社を経て、不動産調査会社で不動産マーケットの調査・分析を担当。不動産市況分析の専門家として、テレビや新聞・雑誌、ウェブサイトなどで、コメントの提供や出演、寄稿するほか、不動産市況セミナーなどで数多く講演している。
2014年9月から現職。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任する。
主な著書に「住宅購入のための資産価値ハンドブック」(ダイヤモンド社)、「沿線格差~首都圏鉄道路線の知られざる通信簿」(SB新書)などがある。
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